2023.06.15
ニュースリリース

【とみおか繭工房】後継者不足の養蚕業、障害のある社員が生産した252キロの繭を群馬県富岡市で初出荷

~世界文化遺産のあるまち群馬県富岡市で後継者不足の養蚕業を障害のある社員が担い手に。障害特性を活かして良質な繭を選別、純国産の富岡シルクとして活用~

総合人材サービスのパーソルグループで障害者雇用支援事業を手掛けるパーソルダイバース株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:渡部 広和、以下パーソルダイバース)が運営するとみおか繭工房は、2023年6月14日、障害のある社員が生産した252キロの繭を出荷したことをお知らせします。
富岡市内で生産された繭は一般社団法人富岡シルク推進機構(群馬県富岡市)の厳正な品質検査を受け、純国産の高品質な富岡シルクとして活用されています。

■とみおか繭工房の概要

とみおか繭工房は、高齢化が進み縮小を余儀なくされている群馬県の伝統ある養蚕業の活性化と、障害者の新たな就労の場の創出を目指し、2017年群馬県富岡市で7名からスタート、2023年6月現在は57名の障害のある社員が活躍しています。養蚕や桑園管理をはじめ、廃棄する桑の枝を活用した和紙づくり、座繰り製糸や機織りなど手仕事を活かした「6次産業化」の事業も展開しています。
地域の課題解決に取り組んだこれまでの経験とノウハウを活かし、多様な障害者の就労の場を拡大させることを目的に、とみおか繭工房の2拠点目として2022年度にオープンしたMerci Cocon & Café(メルシー・ココン アンド カフェ)では、新たな職域となるキッチンやホール業務のほか、障害のある社員が制作したシルクアクセサリーの販売などを行うショップも運営しています。

■富岡シルクブランドについて

富岡市内で生産された繭はJA甘楽富岡(群馬県富岡市)に集められ、生産者ごとに一般社団法人富岡シルク推進機構の厳正な品質検査を受けています。富岡産として出荷された繭は、碓氷製糸株式会社(群馬県安中市)で、日本最新鋭の世界最高ランク「6A」繰糸機で生糸に加工、純国産の高品質な富岡シルクは生産履歴が明確で作り手のこだわりや安心・安全への配慮が行き届いた製品として活用されています。

■障害特性を活かし良質の繭のみを選別

今回出荷した春蚕(はるご)と呼ばれる繭は、栄養豊富な桑の新芽を食して成長するため、1年の中でも最も良質な繭とされています。
とみおか繭工房では年間を通じて良質な繭の出荷を目指し、生産した繭は一つ一つ障害のある社員が目視で生糸として使用できる良質な繭のみを選別しています。小さな繭や汚れた繭、2頭の蚕が一緒になってひとつの繭を作る玉繭(たままゆ)などは生糸として使用できないため、細かい違いに気づくことが得意な社員を中心に障害特性を活かし、これらの繭をていねいに選り分けることにより品質向上の維持に努めています。

■廃棄繭からシルク配合せっけんにアップサイクル

小さな繭や汚れた繭、繭の表面を覆っている毛羽などは生糸として使用できないため、廃棄されてしまいます。これらの繭や毛羽の汚れを取り除き、当社が運営するきりゅうアート工房でシルクたんぱく成分を抽出、石けんに配合して活用するアップサイクルの取り組みも新たにスタートしました。製造した石けんはパーソルグループ各社のノベルティとして主に活用します。

■更なる品質向上に向けて人工飼料育の養蚕

蚕は桑の葉を餌としているため、通常の養蚕では桑の葉が茂る5月から10月までと期間が限られています。
より良質な繭の生産を目指すには養蚕に関わる機会を増やし、理解を深めることも大切だと考え、2022年度より人工飼料育を活用した養蚕事業にも取り組んでいます。障害のある社員の成長機会の創出とともに、通年を通した見学の受け入れ体制を整え、富岡市における養蚕事業の活性化に今後も貢献してまいります。

■責任者のコメント とみおか繭工房 妙義 マネージャー 塩崎 誠

とみおか繭工房の開所7期目となる今期も地域の皆さまのおかげで無事に繭を初出荷することができました。企業で行う養蚕では、地元の養蚕農家さんのように、昼夜を問わずお蚕さまを中心とした養蚕を行うことは出来かねる点もありますが、障害のある社員がそれぞれに持つ強みを活かした養蚕を行い、良質な繭を生産することで今後も地域における養蚕振興へ貢献していきたいと思っております。今後ともご指導ご鞭撻のほど何卒よろしくお願い申し上げます。

■障害のある社員のコメント

私が入社してから5回目の養蚕です。お蚕さまが桑を食べずに眠る「眠」(みん)の期間が通常より長く今回は2日も続いたため心配で、頻繁に様子を見に行きました。お蚕さまが桑を食べないと繭のサイズも小さくなってしまうので、眠から覚めたお蚕さまに「たくさん食べて」と祈るような想いで桑を与え続けました。良質な繭を出荷するために、汚れた繭や形の悪い繭など集中力を絞り最後まで春蚕に向き合いました。工房へ来てくれたお蚕さまに感謝します。

ニュースリリース[PDF]

■本リリースに関するお問い合わせ先

パーソルダイバース株式会社 広報窓口
MAIL:inquiry@persol.co.jp
※折り返しの対応となりますため、メールでのお問合せをお願いいたします。

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