社会や企業の変化が、障害者個人のはたらく意識に与える影響は?
2023年に改正された障害者雇用対策基本方針にて、事業主は雇用の「質の向上」に取り組むことが明記されました。2024年8月に障害者雇用に取り組む企業に対して実施した、企業の雇用目的に関する調査においても、雇用の方針や目的が変化しつつあることがわかっています※。
そこでパーソルダイバースでは、障害者雇用を取り巻く社会や企業の変化が障害者個人のはたらく意識にも影響しているかを明らかにするため、本調査を実施いたしました。
※パーソルダイバース(2024)「障害者雇用方針の変化と展望」
調査概要
調査名称 | 2024年 障害のある方の転職・就職に関する意識調査 |
---|---|
調査手法 | 自社会員を用いた、インターネットによるアンケート調査 |
調査対象者 | dodaチャレンジに登録する、全国の障害のある就業者 359名 |
調査対象者の内訳 |
|
調査期間 | 2024年8月19日~8月23日 |
実施主体 | パーソルダイバース株式会社 |
※本調査を引用いただく際は出所を明示してください。
出所記載例:パーソルダイバース「2024年 障害のある方の就業や転職・就職に関する意識調査」
調査結果
目次
1.「現在」と「今後」のはたらく際に重視する価値観
本調査においては、dodaチャレンジ自社会員に対して、はたらく際に重視する価値観について調査した。結果、今現在、及び今後において、“はたらくことに対して特に重視すること” としては、「収入の向上」(31%)及び「障害や体調への配慮を重視し、無理せずはたらき続けること」の両者が高い結果だった。
2020年/2021年に当社が実施の調査においても「収入、給与」、「継続してはたらけること」が重視されており、前回の調査時点から、障害者の就業への意識の変化は見られなかった。
2.今後のはたらくことへの価値観 はたらく上で最も大切だと思う行動
1.であげた「今後大事にしたい、はたらく上で大事にしたいこと」を実現するために大切だと思う行動では、上位3つが「周囲との良好な関係性の構築」、「勤怠の安定」、「障害や体調安定を第一に無理のないはたらき方で就業」など、就労安定要素の項目が選ばれた。
3. 就職・転職活動の不安や悩み
1.であげた「今後大事にしたい、はたらく上で大事にしたいこと」を実現するために、企業に求めたいことでは、「障害に対する部署や会社の理解、配慮」と「はたらき方を柔軟に選べられること、用意されていること」の両者が高い結果となった。
4.就職・転職活動を行う際の不安や悩み、課題
就職・転職活動を行う際の不安や悩み、課題においては、「給与・待遇面など自分の条件と合致するか」(58.5%)及び「自分が希望する(特性や適性に合った)求人数が少なかった」(43.7%)の両者が高い。
5. 就職・転職支援サービスに期待することや望むこと
就職・転職支援サービスに期待することや望むこととしても、上位3つが「自分の希望や条件、特性に合った仕事を紹介してくれる」(78.8%)、「転職/就職先を選ぶ際の情報量と選択肢が多い」(58.2%)、「障害者に対する理解や知識が豊富で任せられる」(55.4%)であり、自身の希望する条件に合致した求人を第一に求めていることが分かった。
調査結果考察
障害当事者の意識は一貫して、「収入面」及び「障害配慮・勤怠安定」を求めている。
冒頭述べたように、「障害者雇用対策基本方針」 の2023年の改正において、障害者の“雇用の質向上“が事業主の債務として明記されました。この社会変化の流れを受け、パーソルダイバースでは2024年8月に企業の障害者雇用に対する意識の変化について調査を実施した所、企業は法定雇用率の達成のみならず、障害者の活躍を見越した採用へと意識が変化していることが読み取れました。
一方で、今回の2024年9月実施の障害者当人へのアンケート調査では、2020年実施の調査から意識の変化は見られず、一貫して「収入面」及び「障害への配慮、勤怠の安定」を求めていることが分かりました。 また就職活動を行う際の不安や悩み、課題においては「給与・待遇面など自分の条件と合致するか」、就職・転職支援サービスに期待することや望むことにおいても、においても、「自分の希望や条件、特性に合った仕事を紹介してくれる」が高く、上記のはたらく上で重視したい価値観が反映された結果となっています。
調査レポート資料
※調査結果をまとめた資料を提供しています。下記よりダウンロードいただけます