6か月後の定着率は、95.9%。「dodaチャレンジ」は障害者の安定就業にどのように貢献できているのか?

令和5年に厚生労働省から発表された障害者の就業者数は64万2,178人と、対前年差で2万8,220人も増加しており、近年、増加傾向が続いています※1
その一方で、入社後の定着率についても、問題視されている面もあります。厚生労働省の調査によると、入社6か月後の企業への定着率は68.4%であり、1年後の定着率になるとさらに下がります。例えば精神障害者の1年後の定着率に関しては49.3%と、50%を下回っているのが現状です※2
一方で、パーソルダイバース社では、「dodaチャレンジ」という障害者専門の転職エージェントサービスを提供しています。当該サービスでは、6か月後の定着率は、95.9%※3となっており、全国の平均の68.4%より高い数値です※2
そこで今回は、弊社が運営する「dodaチャレンジ」を利用して転職・就職した方を対象に、「dodaチャレンジ」サービスが安定就業にどのように貢献できているのかを明らかにするため、実施いたしました。

調査概要

調査名称 「dodaチャレンジ」障害者の転職・就職後の安定就業に関する調査
調査手法 WEBアンケート調査
調査対象者 2022年度(2022年1月~2023年3月末まで)に「dodaチャレンジ」を利用し転職および就職した身体障害者・精神障害者・発達障害者952名にアンケートを配信
【有効回答者】213人(回答率22%)
調査期間 2023年6月5日~6月12日
実施主体 パーソルダイバース株式会社

※本調査を引用いただく際は出所を明示してください。
出所記載例:パーソルダイバース「「dodaチャレンジ」障害者の転職・就職後の安定就業に関する調査」

調査結果

1. 就業先の満足度と就労継続意識

dodaチャレンジを利用した転職・就職先について入社後の満足度を聞いたところ、「入社当初の期待や希望以上の就業先だと思う」(37.1%)、「入社当初の期待や希望通りの就業先だと思う」(43.2%)となり、合わせて8割の方が、期待・希望通り、あるいはそれ以上の就職先であったと回答。入社企業について極めて高い満足度が示された。
また、8割以上の方が「現在の就業先で今後もはたらきたい」(85.5%)と回答 。 このことは、入社企業の満足度が高いだけでなく、継続就労の意欲の高さも示している。

グラフ:dodaチャレンジの転職・就職は成功だと考えますか?

2022年度にdodaチャレンジを利用して転職・就職した人(N=213人)

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回答内訳:入社当初の期待や希望以上の就業先だと思う37.1%、入社当初の期待や希望通りの就業先だと思う43.2%、入社当初の期待や希望は実現できなかった就業先だと思う19.7%
グラフ:現在の就業先で今後もはたらきたいと思いますか?

2022年度にdodaチャレンジを利用して転職・就職した人※退職した人を除く(N=207人)

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回答内訳:そう思う53.6%、ややそう思う31.9%、あまりそう思わない11.6%、まったくそう思わない2.9%

2. 支援内容:「障害特性や症状」の理解度

dodaチャレンジでは、キャリアアドバイザーが求職者に対し、「障害特性や症状」を理解した上で、不調時に現れるサインや、就業中に症状が出た場合の対処・対策が取れるようになるための支援をしている。そこで本アンケートでは、「障害特性や症状」の理解度について尋ねた。
回答によると、dodaの支援により、ご自身の「障害特性や症状」について以前よりも「より理解できるようになった」(31.9%)および「ある程度理解できるようになった」(58.2%)を合わせると、9割に達した

dodaチャレンジの支援により、ご自身の「障害特性や症状」が理解できるようになりましたか?

2022年度にdodaチャレンジを利用して転職・就職した人(N=213人)

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回答内訳:より理解できるようになった31.9%、ある程度理解できるようになった58.2%、理解できなかった9.9%

3.支援内容:「配慮事項の明確化」の度合い

dodaチャレンジの支援により、「配慮事項が明確になった」人は(32.4%)、これを「文章にまとめることができる」人は(23.5%)、さらに「第三者に説明できるようになった」人は(27.2%)となった。
これらから、上記あわせて8割以上の方がご自身の「配慮事項」が明確になったと実感し、5割の方が配慮事項が明確になったうえ文章にできる、あるいは第三者に説明できるようになったと実感していることがわかった。

グラフ:dodaチャレンジの支援により、「障害特性上の配慮事項」が明確になったり、第三者に説明できるようになりましたか?

2022年度にdodaチャレンジを利用して転職・就職した人(N=213人)

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回答内訳は文中に記載のとおりです

4.「障害特性」の理解度や「配慮事項の明確化」度合いで見る就業先の満足度

本設問では、前述で聞いたdodaチャレンジの支援内容の「障害特性および症状の理解」が就職や安定した就労継続に役立っているかを尋ねた。下図の通り、「障害特性の理解度」が高くなるほど、就職先の満足度が高く、「入社当初の期待や希望以上」の就業先だと感じる人の割合が高い傾向が見られた。
続けて、前述で聞いたdodaチャレンジの支援内容の「配慮事項の明確化」が、就職や安定した就労継続に役立っているかについても、尋ねた。下図の通り、ご自身の「配慮事項の明確化」度合いが高いほど、就職先の満足度が高く、「入社当初の期待や希望以上」の就業先だと感じる人の割合が高い、「障害特性や症状」の理解度と同様の傾向が見られた。

グラフ:「障害特性や症状」の理解度と就業先満足度の関係性

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グラフ解説:障害特性や症状が理解できなかった人のうち約5割、ある程度理解できるようになった人のうち約7割、より理解できるようになった人のうち約9割が「就業先は期待通りもしくは期待以上」と回答
グラフ:「配慮事項の明確化」度合いと就業先満足度の関係性

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グラフ解説:配慮事項が明確になったと回答した人のうち約8~9割が就業先は期待通りもしくは期待以上と回答。対して、配慮事項が明確ではない人では、就業先の満足度は5割程度と低かった。

5. 「障害特性や症状」の理解度や「配慮事項の明確化」の役立ち場面

「障害特性や症状の理解」がどのような場面で役立ったかを尋ねたところ、「転職・就職活動中役立った」が88.7%と高い割合を示した。このうち「転職・就職活動中および今の職場」が44.6%と、2人に1人が、「現在の就業先でも役立って」おり、「障害特性の理解や症状の理解」の支援が継続就労の一助となっていることがわかる。
「配慮事項の明確化」がどのような場面で役立ったか尋ねると、「転職・就職活動に役立った」が89.2%と、「障害特性や症状の理解」と同様に高い割合に達した。
上記の「障害特性や症状の理解」の役立ち場面と比較すると、「配慮事項の明確化」は、「転職・就職活動で役立っている」割合が相対的に高く、「現在の就業先でも役立った」割合は低い傾向となった。

グラフ:「障害特性や症状」を学んだことはどの場面で役立ちましたか?

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回答内訳:転職活動中および現在の就業先でも役立った44.6%、転職・就職活動中に役立った44.1%、いずれも役立たなかった11.3%
グラフ:「配慮事項の明確化」はどの場面で役立ちましたか?

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回答内訳:転職活動中および現在の就業先でも役立った39.9%、転職・就職活動中に役立った49.3%、いずれも役立たなかった10.8%

6. その他の支援内容で習得したこと

dodaチャレンジにおける支援は、「障害特性や症状の理解」や「配慮事項の明確化」以外にも多岐にわたる。
これらの内容についての習得状況を尋ねたところ、習得したと考える割合が大きい順に、「上司や同僚に、質問や相談ができるようになった」(33.3%)、「自分の体調を把握して管理できるようになった」(32.4%)、「就業前にはたらくイメージが持てた」(32.4%)、「相手に理解されやすい話し方ができるようになった」(31.5%)と回答があり、4つの項目で約3割を超えた。

グラフ:dodaチャレンジの支援内容で習得した(学んだ)ことを教えてください。

※「障害特性や症状の理解」「配慮事項の明確化」以外

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回答内訳:上司や同僚に質問や相談できるようになったこと33.3%、自分の体調を客観的に把握して管理できるようになった32.4%、入社前に就業するための準備やイメージが持てた32.4%、相手に理解されやすい話し方ができるようになった31.5%、自分がはたらくことの意味や責任について理解できた22.1%、あてはまるものはない15%

調査結果考察

dodaチャレンジの利用により、「障害特性や症状」を理解できるようになったが9割、「配慮事項が明確になった」が8割以上の回答

今回のリサーチ結果から、dodaチャレンジの利用により、「障害特性や症状」を理解できるようになったが9割、「配慮事項が明確になった」が8割以上との回答が得られました。これは、dodaチャレンジを利用し始めた段階でキャリアカウンセリング等を実施することにより、より自己理解が進んだということが読み取れます。
結果、入社後の満足度では8割以上の方が「期待・希望通り」あるいは「それ以上」の就職先だったと回答しています。

また「障害特性や症状」の理解や、「配慮事項の明確化」がされたことによって、転職・就職に役立ったと回答されたのが9割弱となり高い結果となりました。さらに、これらの理解と明確化が現在の就業でも役立ったという回答が4割弱に登り、自己理解の促進が安定就業にも貢献していると推察されます。

特に発達障害のある方の回答では、現在の就業でも役立ったのが6割弱と、他の障害種別に比べると高い数字となっているのが特徴的です。これは入社前の段階において自己理解を進めることが他の障害種別に比べるとより重要になっているものと思われます。

調査レポート資料

※調査結果をまとめた資料を提供しています。下記よりダウンロードいただけます

「dodaチャレンジ」障害者の転職・就職後の安定就業に関する調査[PDF]