
法人支援の現場から
~専門スタッフが語る
成功ポイントと支援事例~
第1回
初めての障害者雇用、
企業が持つべき心得とは?
障害者雇用促進法の改訂や法定雇用率の引き上げに伴い、これから障害者雇用に取り組んでいこう、または規模を拡大していこうと考える企業が増えています。現場で発生する課題に対し、パーソルダイバースの法人向けソリューションではどういったアドバイスや支援を行っているのでしょうか。支援の現場を知り尽くしたパーソルダイバースの専門スタッフが、3回にわたりお話します。

コンサルタント
企業との窓口となり、課題解決に向けたさまざまなソリューションを提案しながらプロジェクトの進行・マネジメントを担当。

リクルーティングアドバイザー
障害者雇用に関わる課題のヒアリングや採用ポジションの要件定義、採用活動のフォローなど、主に採用活動の支援を担当。
法人向けソリューションの専門スタッフが、支援現場のリアルな事例や雇用の成功ポイントを語るインタビューシリーズ。第1回では、「障害者雇用が初めてで何をすればいいか分からない」「社内の理解が得られない、反発がある」「法定雇用率は達成したいが、ノウハウがなく動きだせない」といった企業に向け、障害者雇用をはじめる前に知っておきたいポイントや、パーソルダイバースの支援内容についてお話します。
なぜ、何のために取り組むのか? まずは目的を明確に
——これから障害者雇用に取り組もうとされている企業に、コンサルタントの立場からお伝えしたいアドバイスは何ですか?
永里:まずはやはり、障害者雇用の目的や意思を持っていただきたいですね。法定雇用率や助成金などに関する情報提供は私どもからできますが、「自分たちがどうしていきたいのか」という意思がなければその先の具体的な支援には進めません。初めての企業ほど、「なんとなく」や「とりあえず」で採用に踏み切ると失敗するリスクが高くなると思います。
——具体的にはどんなことを固めておけばよいのでしょうか。
永里:いつまでに何人くらい採用したいのか、特例子会社をつくるならいつまでに認定を取りたいのか、そうした大まかな採用計画は当然必要ですが、私たちが特に注視するのは企業の「課題意識」です。雇用数が法定雇用率に達していないことが課題なのか、過去に採用したけれど定着しないことに課題を感じているのか……。課題の原因まで特定できている必要はないので、困っていることや解決したいことを羅列しておいていただけるだけでも、より適切な支援ができるようになります。

——障害者雇用に対する企業側のスタンスが重要なのですね。
永里:そうですね。その視点で言うと、社内で障害者雇用についてどれだけコンセンサスが取れているかも重要なポイントになります。仮に特例子会社を立ち上げようとするなら、長期スパンのプロジェクトとなり予算も大きくなります。役員会ですでに合意が取れているのか、まだ人事部署内で情報収集の段階なのか、そのあたりの温度感もしっかり確認させていただきます。

雇用の現場も含めたサポートが、安定した就労を左右する
——初めて障害者雇用に取り組む場合、会社としては意思があっても、具体的なノウハウがなかったり、共にはたらく現場の戸惑いが大きかったりするケースも多いかと思います。
森田:採用ノウハウがないという企業に対しては、ご要望に応じて採用事務の代行や面接同席などをご提案しています。例えば面接同席の場合、企業側にあらかじめ質問ポイントをお伝えし、面接後には企業と候補者の双方から感想をお聞きします。相性や課題を客観的に評価することができるので、マッチング精度がかなり上がると思います。
永里:共にはたらく現場へのフォローとしては、雇用管理者向けの研修や説明会を開催します。具体的な対応方法や事例をお伝えすることで「こうした対応をすればいいのか」と気づき、抵抗感が下がることはよくありますね。最近は採用した方の「定着」に関するご相談が増えていますが、社内の理解度やコミュニケーション面は定着率に大きく影響するので、実際に一緒にはたらく現場のみなさまへのご支援も大切にしています。

地道なあいさつ回りから同行し、全国展開に向けたノウハウを移管
——初めての障害者雇用をご支援した、具体的な事例を教えてください。
永里:全国に拠点をお持ちのある企業の事例です。すでに本社では障害者雇用を始めており、今後は全国でも採用を広げていきたい、という方針をお持ちでした。ところが地方拠点にとってはまったく初めてで、どこに募集をかければよいか、どんな方を採用すればよいかもわからない状況。そこで、採用担当者と一緒にまずは地元の就労移行支援所や各種支援機関、ハローワークなどに赴き、自社の仕事や採用意向を説明することから始めました。地道に足を使ってお伺いする “ご挨拶まわり”といった感じでしたね。
——かなり初期段階から伴走支援されたのですね。
永里:はい、雇用改善や定着促進といった以前の、ほぼゼロからのスタートでした。でもその地道な同行の結果、地方でも数十名の応募を集めることができました。その企業は「(支援を通じて)障害者雇用のノウハウをしっかり身につけ、他拠点でも展開していきたい」という強い意思があったので、その後も障害者を採用する拠点を増やし、最終的に100名を超える採用につながったんですよ。
——雇用方針や課題感を明確にしたうえでパーソルダイバースにご相談いただければ、採用の細かい部分から、丁寧な支援がご提供できることがよく分かりました。
森田:障害者雇用の経験が浅いと、「とりあえず情報だけ欲しい」とお声がけされる企業も正直少なくはありません。でも、方針を固めてしっかり取り組めば、法定雇用率達成だけでなくダイバーシティ推進や企業価値向上にもつながります。我々からはご要望に合わせて随時最適なご提案をさせていただきますので、ぜひ長期視点で捉え、障害者雇用に取り組んでいただけたらと思います。

第1回は、障害者雇用初心者の企業が持つべき心構えや、具体的な支援について聞いていきました。とはいえ、最初からこうした有料人材紹介を使うべきか、それともハローワークからトライしてみるか、迷っている企業もいらっしゃるでしょう。そこで次回は、ズバリ「有料人材紹介の活用メリット」について、引き続きお二人に聞いていきたいと思います。
第2回へ続く- 第1回
初めての障害者雇用、
企業が持つべき心得とは? - 第2回
こんな時こそ、
有料人材紹介へ - 第3回
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