
法人支援の現場から
~専門スタッフが語る
成功ポイントと支援事例~
第2回
こんな時こそ、有料人材紹介へ
障害者雇用促進法の改訂や法定雇用率の引き上げに伴い、これから障害者雇用に取り組んでいこう、または規模を拡大していこうと考える企業が増えています。現場で発生する課題に対し、パーソルダイバースの法人向けソリューションではどういったアドバイスや支援を行っているのでしょうか。支援の現場を知り尽くしたパーソルダイバースの専門スタッフが、3回にわたりお話します。

コンサルタント
企業との窓口となり、課題解決に向けたさまざまなソリューションを提案しながらプロジェクトの進行・マネジメントを担当。

リクルーティングアドバイザー
障害者雇用に関わる課題のヒアリングや採用ポジションの要件定義、採用活動のフォローなど、主に採用活動の支援を担当。
法人向けソリューションの専門スタッフが、支援現場のリアルな事例や雇用の成功ポイントを語るインタビューシリーズ。第2回のテーマは「有料人材紹介を利用するメリット」についてです。障害者雇用の募集方法には、ハローワークによる職業紹介サービスや特別支援学校や就労移行支援事業所への求人票提出、合同説明会での募集などいくつかの方法があります。一体どういったケースが、プロの有料人材紹介を利用するのに適しているのでしょうか。
「採用フローが非効率」
「求めている候補者が集まらない」……
——パーソルダイバースでは、国内最大級の登録者数を持つ障害者転職支援サービス「dodaチャレンジ」を基盤に、有料人材紹介サービスを提供しています。やはり、自力での採用とはまったく成果が異なりますか?
森田:もちろん有料のサービスですから、ご期待に応えるご支援をさせていただきます。ただ、どんな企業にも有料人材紹介サービスをお勧めするかと言えば、実はそうでもないのです。例えば、「とにかく母集団の数を獲得したい」といった場合ならハローワークのほうが登録者数は多いですし、あまりに専門性の高い職種や、障害配慮や労働条件等が調整の余地の少ないピンポイントな募集であるとマッチングが難しいことがあります。パーソルダイバースを活用するメリットをご理解いただいたうえでご支援が進められるとベストだと思います。

——では、どういったケースが有料人材紹介の利用に適しているのでしょう?
森田:具体的な事例とあわせてお話しさせてください。これは合同説明会への参加から当社の人材紹介サービスに切り替えられた企業のケースですが、その企業では1名の採用のために毎年合同説明会にブース出展し、200名近くと面談をされていました。かけている労力・費用の大きさに対し、採用実績はゼロ。そこで当社の有料人材紹介に変えたところ、合同説明会への出展にかけていた膨大な工数を減らしつつ、要件に見合う方を採用することができました。それ以来、毎年ご支援させていただいています。
———採用工数削減の決め手は何だったのでしょうか?
森田:事前に企業の業務内容・自社で可能な配慮事項をしっかりヒアリングし、要件を見直したことにより、ご要望に合った「職業準備性」を身につけている候補者の方をご紹介したことです。合同説明会で数百名の方と面接するのに比べ、工数も労力もかなり効率的になりました。
永里:補足すると、「職業準備性」とは、体調管理や生活習慣、作業遂行能力や対人スキルといった、はたらくうえで求められる基礎的な資質や能力のことです。候補者が要件にマッチする職業準備性を身につけているかをプロの視点で確認することができるのも、有料人材紹介を利用するメリットの一つだと思います。

※独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構の
資料をもとに作成
適切な要件定義が、その後のフローと結果を変えた!
——募集の要件定義や職業準備性の確認を的確に行うことで、マッチング精度や定着率が変わってくる、ということですね。
森田:その通りです。業務内容や要件の伝え方を見直すだけで効果が出るケースはたくさんあるんですよ。例えば某大手企業の関連会社様の場合、都心部では母集団形成が行いやすい仕事であるものの勤務地が都心部から2時間かかるため、なかなか応募がないという課題がありました。実際社内での勤務状況をお聞きすると、リモートワークの活用の柔軟性が非常に高かったのです。今、採用市場では在宅勤務ニーズが非常に高まっていることもあり、募集要件を「完全リモートワーク可」に変えたところ、それだけで応募が10倍に跳ね上がりました。
また、ある木材加工会社の場合、屋外の作業系業務で募集をかけていらっしゃいましたが、障害のある方は屋外で長時間就業することを避けたい方が多く定着に課題をお持ちの状況でした。そこで「一度、事務系の仕事で募集してみませんか?」と提案したところ、建築系の大学を卒業されたまさにピッタリな方の採用に成功。今では設計業務の正社員として活躍され、事業に貢献しています。
——成果の高さは十分わかりましたが、ちなみに気になる費用は……?
森田:私たちはご入社に至った場合に紹介手数料をお支払いただく「完全成果報酬型」をとっていますから、入社まで費用は発生しません。有料人材紹介だとコストを気にされる企業も確かにいらっしゃいますが、採用活動全体にかかる労力や、その後の定着率を総合的に考えてみると、きっとご納得いただけると思います。

自分たちも特例子会社だから、ノウハウの深みと支援の充実度が違う
——有料人材紹介をご利用になる企業は、採用後のフォローアップにも期待される場合が多いと思います。パーソルダイバースならではの支援はどういったものでしょうか。
森田:私たちの大きな強みになっているのは、パーソルダイバース自体がパーソルグループの特例子会社である、という点です。つまり、自分たち自身も障害者雇用を行い、障害のあるスタッフが数多くはたらいているため、現場のリアリティから生まれたノウハウがある。入社前後のフォローアップでは障害のあるスタッフが求職者の方のカウンセリングを行うこともあるのですが、同じ立場を共有している安心感から心をひらき、本音で話してくれることも多々あります。
永里:障害者雇用の当事者としてのノウハウがあるから、的確な人材要件定義や採用マッチングができ、マッチング精度が高いから、その後の定着支援もスムーズになる、というわけです。さらに言うと、その人材要件定義を行う前段階として重要なプロセスの一つに「業務の切り出し」というものがあります。ここにおいても私たちには深いノウハウと経験があるのですが……

そちらについてもぜひ詳しくお話いただきたいところですが、今回はひとまずここまで! 障害者雇用のポイントに関する理解が、だいぶ深まってきました。第3回では「業務の切り出し」をテーマに、さらに具体的な障害者雇用ノウハウに踏み込んでいきたいと思います。
第3回へ続く- 第1回
初めての障害者雇用、
企業が持つべき心得とは? - 第2回
こんな時こそ、
有料人材紹介へ - 第3回
「業務の切り出し」は
全社の業務最適化チャンス!