2025.08.26
ニュースリリース

【調査レポート】はたらく障害者の約4割がキャリアアップを希望も、職場での合理的配慮に課題

障害者のための転職・就職支援サービス「dodaチャレンジ」登録者を対象に、「はたらく障害者の就業実態・意識調査2025」を実施しました。このたび、その調査結果の第2弾として「障害者の就業意識」と「合理的配慮の提供実態」に関する結果を発表いたします。

※調査結果 第1弾:「はたらく障害者、8 割が「正社員」での雇用を希望 浮かび上がる就業実態とのギャップ」(2025年7月発表)

本調査は障害者の就業環境やはたらく上での意識・課題を明らかにすることを目的としており、今後のより良い雇用支援の実現に向けた貴重な示唆を提供するものです
厚生労働省「令和6年 障害者雇用状況の集計結果」によると、はたらく障害者は2024年には約67万7000人に達し、21年連続で拡大しています。障害者雇用が拡大していく中、障害者は、就業や仕事、合理的配慮に対してどのような意識を持っているのか、その傾向を調査、分析しました。
その結果、障害者の就業意識は多様であること、一人ひとりに適した合理的配慮の提供に課題があることがわかりました。

主なトピックス

  1. はたらく障害者の約4割が、仕事を通じた成長・キャリアアップに意欲的
  2. 提供されている合理的配慮の内容では、受け入れ体制に関する項目が特に配慮されている
  3. 合理的配慮の提供実態と、今後の希望では、「キャリア形成に関する配慮」に最も大きな差(20.6pt)。はたらく障害者のキャリア形成支援に課題

パーソルダイバースでは、「dodaチャレンジ」などを通じて、障害者を雇用する企業、及びはたらく障害者にとっての「障害者雇用の成功」に取り組んでまいりました。
今回の調査結果を踏まえ、パーソルダイバースはこれからも、障害者の「自分らしくはたらき続けたい」という思いに寄り添い、転職・就職やキャリア形成を支援してまいります。

■調査結果詳細

1.はたらく障害者の約4割が、仕事を通じた成長・キャリアアップに意欲的

仕事に対する「はたらく志向」について調査したところ、新たな仕事に挑戦し自己成長を目指す「成長・活躍志向」(38.1%)が、安定した定型業務を続けたい「安定・定着志向」(37.8%)をわずかに上回りました。はたらく障害者の約4割が、仕事を通じた成長・キャリアアップに意欲的であることが読み取れます。
また、定型業務でも自分なりの工夫ができる仕事がしたいと答えた「バランス志向」の人が24.4%いることがわかり、障害者のはたらく志向は「安定・定着志向」に偏っているわけではなく、多様であることがわかりました。

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回答内訳:やることが明確な定型業務をしたい15.7%、はたらき続けられれば、業務にはこだわらない22.1%、定型業務だが、自分なりの工夫ができる仕事がしたい24.2%、職務の範囲を高めていきたい19.6%、エキスパート職になりたい18.5%(N(全体)=720)

2. 提供されている合理的配慮の内容では、受け入れ体制に関する項目が特に配慮されている

職場での提供合理的配慮について調査したところ、「上司・同僚からのサポート」(34.2%)、「就業環境の配慮」(30.9%)、「労働時間の配慮」(27.8%)といった、受け入れ体制に関する項目が特に多く提供されていることがわかりました。
一方で、「業務指示の方法について工夫されている」と答えた人は13.6%と少なく、上司・同僚からのサポートは感じられているものの、具体的な業務面の支援は十分に配慮が実感されていない傾向があります。
最も少なかったのは「キャリア形成に関する配慮」で7.5%にとどまり、受け入れ体制の配慮はある程度行われているものの、業務面やキャリア支援での配慮は十分とは言えない可能性が示されました。

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回答内訳:合理的配慮あり76.0%:なし24.0%(障害特性に合わせた業務を与えてくれる21.5%、業務量を調整されている25.3%、業務指示の方法について、工夫されている13.6%、労働時間の配慮27.8%、就業環境の配慮30.9%、上司・同僚からのサポート34.2%、人事部からのサポート11.7%、業務に使う機器の用意10.2%、キャリア形成に関する配慮7.5%、その他4.9%、受けているサポートはない24.0%(N(全体)=693))

3. 合理的配慮の提供実態と、今後の希望では、「キャリア形成に関する配慮」に最も大きな差(20.6pt)。はたらく障害者のキャリア形成支援に課題

現在提供されている合理的配慮と、今後改善を望む合理的配慮を比べると、「キャリア形成に関する配慮」で20.6pt、「障害特性に合わせた業務」でも15.6ptの差がありました。
この結果は、障害者のはたらく志向や希望と、実際に職場で受けている合理的配慮との間にギャップがあることを示しています。特に、雇用する側が仕事を通じた活躍や成長を支える仕事づくりや、キャリア形成に向けた配慮に課題があるとも考えられます。

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回答内訳:提供されている合理的配慮の内容(障害特性に合わせた業務を与えてくれる21.5%、業務量を調整されている25.3%、業務指示の方法について、工夫されている13.6%、労働時間の配慮27.8%、就業環境の配慮30.9%、上司・同僚からのサポート34.2%、人事部からのサポート11.7%、業務に使う機器の用意10.2%、キャリア形成に関する配慮7.5%、その他4.9%)就業を継続する上で改善してほしいこと(障害特性に合わせた業務を与えてくれる37.1%、業務量を調整されている21.9%、業務指示の方法について、工夫されている17.9%、労働時間の配慮21.8%、就業環境の配慮36.7%、上司・同僚からのサポート30.3%、人事部からのサポート11.1%、業務に使う機器の用意4.9%、キャリア形成に関する配慮28.1%、その他4.5%)(N(全体)=693)

調査結果の詳細URL

■調査結果考察

パーソルダイバース株式会社
人材ソリューション統括本部 人材ソリューション本部
キャリア支援事業部ゼネラルマネジャー
田山 亜綾乃

今回の調査で、障害者の「はたらく」価値観が安定志向に偏らず、キャリアアップや成長を望む人も多いことがわかりました。
私たちが運営するdodaチャレンジへご登録いただいた方々の転職理由でも、以前は「まずは安心できる環境で安定してはたらきたい」といった声が多くありましたが、直近では、障害者雇用ではたらく中で業務の幅を広げたい、さらに成長したいという声が増えています。

企業による合理的配慮の提供はまだ不十分で、改善を求める声も多く上がっています。企業の人事担当者からは、「どの範囲まで、配慮すべきか」「障害のある社員と、他の社員の職場の公平性とのバランスは、どう取るのか」といった、雇用後のサポートや合理的配慮に悩む声も多く寄せられています。

障害者雇用では「雇用の質」の向上が重要で、多様な価値観を前提とした適切な配慮とキャリア支援が求められています。パーソルダイバースは今後も、dodaチャレンジを通じて一人ひとりのはたらく想いの実現を目指すとともに、企業の雇用課題と真摯に向き合い支援を続けてまいります。

■調査概要

調査名称

はたらく障害者の就業実態・意識調査2025

調査手法

自社会員を用いた、インターネットによるアンケート調査

調査対象者

dodaチャレンジに登録する障害者 720名

調査対象者の内訳
年代:
20代(16.4%)/30代(36.3%)/40代(24.0%)/50代(23.3%)

現住所:
北海道・東北(5.6%)/北信越(0.4%)/関東(52.1%)/東海(14.0%)/関西(18.3%)/中国・四国(3.6%)/九州・沖縄(6.0%)

障害種別:
身体障害(63.5%)/知的障害(0.7%)/精神障害(39.4%)

就業状況:
就業中(76.5%)/離職中(19.7%)/その他(3.8%)

勤務先の業種:
製造業(18.5%)/卸売・小売(7.2%)/金融(6.9%)/サービス(13.3%)/IT・ソフトウェア・通信(12.8%)/官公庁・団体(7.2%)/医療・福祉(5.1%)/広告・出版・マスコミ(1.4%)/その他(27.6%)

※本調査では、障害者のための転職・就職支援サービス「dodaチャレンジ」に登録する障害者720名より、回答を得た。 したがって、障害者全体の就労実態を反映したものではなく、当社に登録する障害者の就業実態を反映するものである。 なお、現在離職中の回答者は、直前の勤務先における就業実態についての回答をいただいた。

調査期間

2025年5月13日~5月20日

実施主体

パーソルダイバース株式会社

■ニュースリリース

■本件に関するお問い合わせ先

パーソルダイバース株式会社 広報窓口
E-mail:inquiry@persol.co.jp

※折り返しの対応となりますため、メールでのお問合せをお願いいたします。

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