事業・サービス

地域連携の
価値創造ストーリー

地域と連携することで、
障害者雇用にとどまらない
価値が生まれる

パーソルダイバースの地域連携事業の始まりは、2006年にさかのぼります。当時、知的障害のある方を中心に雇用していた特例子会社サンクス・テンプ(現パーソルダイバース)では、障害のある方の活躍の場をさらに拡げるため、外注していたノベルティを製造する工房の設立を検討していました。そのとき、折よく福祉施設の誘致を行っていた横浜市との出会いから、地域で障害のある方を採用することになりました。

地域連携にこそ障害者雇用の新たな可能性があると気づいた私たちは、横浜以外にもエリアと事業を拡大。すると、雇用にとどまらない豊かな価値が次々と生まれていきました。

01

限界を決めず、お客様と地域の期待に応える

私たちの地域連携の第一弾となったのは、2006年に開設された「よこはま夢工房」です。公有財産である建物を使って障害者雇用事業を行う企業を募集していた横浜市に、私たちがクッキーの製造工房を提案し、採用されました。

開設当初は製造業務のマニュアル化に苦労し、ノベルティとしてグループ会社へ納品できるようになったのは1年後のこと。その後は順調に製造が進み、2年目にはグループ外への販売も開始しました。「お客様の期待に応えること」を何より大切にし、ご要望に合わせてクッキーに個別の焼き印を入れるなど、細かな対応も行ってきました。“障害者が作っているから”ではなく、“おいしいから・ニーズに応えてくれるから”という理由で買っていただけるように。その想いでクッキー製造に取り組み、今では横浜市から「市民にも販売してほしい」「雇用ノウハウやキャリア事例を社外にも発信してほしい」などのお声もいただくようになりました。

02

障害特性を活かして、地域産業の担い手にもなれる!

世界遺産「富岡製糸場」がある群馬県で養蚕の担い手不足が問題になっていることを知り、障害者雇用による地域課題への貢献を目指して2017年に富岡市に「とみおか繭工房」を立ち上げました。

養蚕は手間がかかるうえ、機械化になじまない仕事です。それが後継者不足の要因でもありますが、地道な作業でも丁寧に続けることは知的障害のある方々の得意分野でもあります。オフィス事務の受託事業で培った業務細分化のノウハウを活かし、専門性の高い仕事を手分けしておこなえる仕組みを構築しています。

障害特性を上手く活かすことで、難易度の高い伝統産業の担い手にもなれる——。障害者雇用を通じ、地域の伝統産業を守るという新たな価値が見つかりました。また、養蚕業に携わることで、ダイバーシティの実現において「自然が持つ包容力」や「生き物を育て慈しむ心」が重要な観点であることにも改めて気づかされました。

03

農家さんと仕事に
誠実に向き合い、
地域の課題を一緒に解決

養蚕を通じて障害者雇用と自然との相性の良さがわかり、地域で障害のある方の活躍の場を広げるため次に取り組んだのが農業分野です。農福連携が国からも注目され始めた2018年、人手不足に悩む地域農家から農作業を受託する「よこすか・みうら岬工房」を神奈川県でスタートしました。

農業は決して簡単な仕事ではありません。最初は求められる仕事量に対応しきれなかったことや、障害特性からくるコミュニケーション不足(挨拶ができないなど)で農家さんから厳しいお声をいただくことがありました。それでも障害のある社員たちはみな、農業や農家さんに対して想いを持ち、一生懸命、誠実に仕事をし続けました。その姿に、農家さんも次第に理解を示し、配慮しながら作業を委託してくださるようになりました。

これからも障害のある社員たちと農家さんが理解し合い、ともに成長しながら“農業の人手不足”と“地域の雇用創出”という二つの課題の解決を目指していきます。

04

ずっと大切にしてきた「『ありがとう』をかたちに。」の心

その後も地域連携の事業内容は広がり続けています。2019年にはバラとつつじが有名な前橋市で、インテリアとして人気のハーバリウムを制作する「まえばし彩工房」を開設。オリジナルのデザインを考えるところから障害のある社員自身で行い、地域のイベントで直接販売することにも挑戦しています。

2021年には、千葉県いすみ市と障害者雇用に関する包括連携協定を締結し、販促品の封入・梱包作業をおこなう「いすみ絆工房」を開設しました。さらに2023年には、群馬県桐生市に「きりゅうアート工房」を開設。とみおか繭工房で生産した繭のうち、サイズや汚れの問題から通常は廃棄されてしまう繭を使い、汚れを一つひとつ取り除いてオーガニック石鹸などにアップサイクルしています。

地域や事業内容はどんどん拡大していますが、私たちが変わらず大切にしていきたいのは「『ありがとう』を、かたちに。」という想いです。自分たちの仕事がかたちになり、感動やストーリーとともにお客様の手にわたる。そして「ありがとう」が重なり、みんなが笑顔になる。この感謝と成長の連鎖を続けながら、これからも地域とともに、多様な価値を生み出していきます。