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厚生労働省は5月31日に「令和4年度 障害者の職業紹介状況等」にて、2022年度のハローワークを通じた障害者の職業紹介状況を発表しました。新規求職申込件数は233,434件(対前年度比4.2%増)、就職件数は102,537件(対前年度比6.6%増)でいずれも前年度を上回り、コロナ禍以前とほぼ同水準まで改善。就職率は43.9%(同比1.0ポイント増)という結果でした。

新規求職申込件数及び就職件数の推移

(出典:厚生労働省「令和4年 ハローワークを通じた障害者の職業紹介状況」)

障害別の就職状況 精神障害者の就職コロナ禍以前まで回復

障害別の新規求職申込件数を見ると、精神障害者は対前年度比14.2%増となる123,593件で、コロナ禍以前の2019年を上回る水準まで回復しています。他方で、身体障害者は対前年度比0.1%増の58,095件、知的障害者は対前年度比2.8%増の35,610件と、いずれもほぼ横ばいの結果となりました。

新規求職申込件数の推移(障害種別による比較)

(出典:厚生労働省「令和4年 ハローワークを通じた障害者の職業紹介状況」)

また、障害別の就職件数については、精神障害者の就職件数は対前年度比17.8%増となる54,074件で、2019年の49,612件をコロナ禍以降初めて上回りました。他方、身体障害者は対前年度比5.2%増となる21,914件、知的障害者は対前年度比3.1%増となる20,573件となり、前年からの増加はあるものコロナ禍以前と比較すると減少が続いている状況です。

就職件数の推移(障害種別による比較)

(出典:厚生労働省「令和4年 ハローワークを通じた障害者の職業紹介状況」)

精神障害者の就職件数増加が牽引する形で、障害者雇用全体の就職件数ではコロナ渦以前とほぼ同水準まで回復してきたことがうかがえます。コロナ禍以前と同様に、精神障害者の就職件数の伸長が、障害者雇用拡大の推進力となることが期待されます。

大多数の産業にて就職件数増加。「医療、福祉」・「サービス業(他に分類されないもの)」などの業界が牽引

産業別の就職件数を見ると、大多数の産業にて前年度よりも増加しています。
2019年度との対比でもわかるように、障害者の就職先として比較的高い割合を占める「医療、福祉」「サービス業(他に分類されないもの)」をはじめ「農林漁業」「鉱業、採石業、砂利採取業」「複合サービス業」「学術研究、専門・技術サービス業」などはコロナ禍以前の水準を上回っています。
また、前年に引き続き「製造業」「卸売業、小売業」では求人数が増加し、コロナ禍以前の90%程度まで回復してきています。
一方で、「電気・ガス・熱供給・水道業」「運輸業、郵便業」「金融業、保険業」「生活関連サービス業、娯楽業」「公務・その他」は、回復傾向が鈍い状況が続いています。

産業別の就職件数の推移

産業別の就職件数の推移

(出典:厚生労働省「令和4年 ハローワークを通じた障害者の職業紹介状況」)

障害者の解雇者数はさらに減少

2022年度の障害者の解雇者数は1,605人でした。2020年度の2,191人以降減少傾向で、前年度の1,656人をさらに下回り、落ち着きを見せています。障害種別では、身体障害者が499人(対前年度比219人減)、知的障害者が562人(同比94人増)、精神障害者が544人(同比74人増)という結果でした。知的障害者と精神障害者では前年度比で増加しており、身体障害者の解雇数の減少が、全体の結果に大きく影響していることがうかがえます。

障害者の解雇数の推移

(出典:厚生労働省「令和4年 ハローワークを通じた障害者の職業紹介状況」)

厚生労働省は今回の結果について、障害者の就職件数がコロナ禍以前の水準に向けてさらに改善しているとの見解を示しています。その要因の一つとなっているのが、前年度に引き続き新規求職申込件数の増加です。加えて、「医療、福祉」「製造業」「サービス業(他に分類されないもの)」「卸売業、小売業」など、障害者の就職先として高い割合を占める業種において求人数が増加している点を挙げています。
今後も法定雇用率の段階的な引き上げ(2024年度に2.5%、2026年度に2.7%)に伴い、障害者雇用のさらなる拡大が求められるでしょう。

考察:障害者雇用市場の傾向を踏まえた、今後のポイント

今回の集計結果を振り返ると、ハローワークを通じた障害者の就職件数に関してはコロナ禍以前とほぼ同水準(99.4%)まで回復してきたことが分かります。今後、法定雇用率の段階的な引き上げを踏まえると、各企業の積極的な障害者雇用推進が予想されるため、次年度以降も就職件数は更に伸長していくことが予測されます。障害者雇用のさらなる推進が求められる企業側においては、以下のポイントが重要になってきます。

  • 雇用拡大にむけた新たな業務創出・切り出しを行う
  • はたらき方の多様性・柔軟性を広げる

より詳細を知りたい方は、現市場傾向から導き出せるポイントを7つにまとめた以下資料をご参照ください。

\行政統計データをもとに市場動向を分析。
抑えるべきポイントを解説/

【2023年度版】障害者雇用市場の傾向と対策~雇用率2.7%間近!採用拡大に向けて抑えるべきポイント~ 採用拡大を成功させる7つのポイントをご紹介 無料ダウンロード

厚生労働省より発表されている法定雇用率の引き上げ(2024年度に2.5%、2026年度に2.7%)に伴い、企業側にはこの先の3年間のうちに、より具体的な障害者雇用拡大に向けた取り組みが求められます。
まずは現在の自社における実雇用率を把握し、引き上げ後の法定雇用率を達成する具体的な戦略を準備する必要があるでしょう。
採用活動にとどまらず、継続可能な障害者雇用を実現するには、定着・活躍のための取り組みや、その前提となる障害者雇用への社内理解・全社的な組織風土の醸成も重要となってきます。
まずは自社の状況を確認し、早急・迅速な取り組みが推奨されます。