更新日:2026年2月24日/作成日:2023年5月23日

法定雇用率の遵守に伴う企業負担を軽減する措置として設けられている除外率制度について解説します。
本記事では、除外率制度の対象となる業種や計算方法といった基本事項に加え、人事担当者様が実務で特に気になるポイントや、2025年度に実施された除外率の一律10%引き下げによる影響について分かりやすく解説します。さらに、厚生労働省が公表している最新情報を踏まえ、パーソルダイバース独自の見解や今後想定される対応策についても事例を交えてご紹介します。

目次

障害者雇用の除外率とは

除外率とは、障害者の就業が一般的に困難であると認められる業種について、障害者の雇用義務を軽減する措置として設けられた制度です。
障害者雇用促進法では、障害者の職業の安定を図るため、法定雇用率を設定しています。一方で、業種によっては、障害者の就業になじみにくい職種の労働者が相当な割合を占めている場合もあります。そのため、こうした業種については、雇用する労働者数を算定する際に、一定割合を控除できる仕組みとして除外率制度が設けられています。除外率が設定されている業種では、他の業種と比べて法定雇用率の達成義務が除外率分だけ緩和されるという特徴があり、併せて障害者雇用納付金制度においても、納付金額が軽減されます。

具体的には、建設業・医療業・道路貨物運送業をはじめとした以下のような業種にて除外率が適用されています。

■最新の除外率設定業種の一覧表※2026年2月時点

除外率設定業種 産業分類番号
※大・中・小分類にて記載
除外率
非鉄金属第一次製錬・精製業 231 5%
貨物運送取扱業(集配利用運送業を除く) 482 5%
建設業 D(06~08) 10%
鉄鋼業 22 10%
道路貨物運送業 44 10%
郵便業(信書便事業を含む) 49 10%
港湾運送業 481 15%
警備業 923 15%
鉄道業 42 20%
医療業 83 20%
高等教育機関(高等学校は含まない) 816 20%
介護老人保健施設 20%
介護医療院 20%
林業(狩猟業を除く) 02 25%
金属鉱業 051 30%
児童福祉事業 853 30%
特別支援学校(専ら視覚障害者に対する教育を行う学校を除く) 815 35%
石炭・亜炭鉱業 052 40%
道路旅客運送業 43 45%
小学校 812 45%
幼稚園 811 50%
幼保連携型認定こども園 819 50%
船員等による船舶運航等の事業 70%

※「―」となっている業種は産業分類番号の大分類~小分類では明確な判別が出来ません。

以下を参照の上、弊社にて独自に作成

除外率の廃止(引き下げ)に向けたこれまでの変遷

除外率制度は、1960年に創設された「除外労働者制度」を前身としています。1976年に障害者雇用が義務化されたことを受け、職種区分が明確でない民間企業についても公平に雇用率を算定できるよう「除外率設定業種」を明確に定め、一定割合を常用労働者数から控除して法定雇用率を算定する仕組みへと見直されました。
その後、除外率制度については、ノーマライゼーションの考え方を踏まえ、2002年の法改正により、2004年4月から廃止されました。ただし、急激な制度変更による企業への影響を考慮し、特例措置として当分の間、除外率設定業種ごとに段階的に引き下げていくこととされました。
この方針に基づき、2004年4月および2010年7月には、それぞれ一律で10ポイントの除外率引き下げが実施されました。その後は10年以上にわたり見直しが行われていませんでしたが、2025年4月に、再び一律10ポイントの引き下げが実施されています。今後も、制度の完全廃止に向けて段階的な引き下げが想定されていますが、現時点では、次回の引き下げ時期は明確に示されていません。

除外率の計算方法とは

計算例:除外率10%が適用される工場を有する企業の場合

  • 本社    119人(除外率適用なし)
  • 工場    68人×0.1(適用される除外率)=6.8 → 除外数6人(端数切捨) 68人-6人(除外数)=62人 

2事業所の計

  • (119人+62)×0.25=4.525人 → 4名(端数切捨) 必要な法定雇用障害者数は4人

※適用事業所番号が支社、支店、工場等ごとに異なった番号がある場合、それぞれの事業所単位で除外率が適用される。

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除外率に関する各種注意点

除外率の適用単位について

除外率は、会社全体ではなく「事業所ごと」に適用される制度です。そのため、本社では除外率の対象とならない場合であっても、工場や支店などの一部の事業所が除外率の適用対象となるケースがあります。

誤解しやすい業種について

一部の業種では、除外率の適用範囲について誤解が生じやすい点に注意が必要です。
具体例としては

  • 貨物運送取扱業は集配利用運送業を除く
  • 高等教育機関には高等学校は含まれない

など、制度上の定義と混同されやすい業種が一部あります。

除外率の適用対象となる業種かどうかの判断について

除外率の対象業種かどうかは、原則として「日本標準産業分類コード」をもとに判断します。但し、事業内容が複数にまたがる場合など、産業分類コードだけでは判断が難しいケースもあります。その場合は、管轄のハローワークへ確認することが必要です。尚、除外率を適用できるかどうかの最終的な判断は、ハローワークが行います。

除外率設定業種の障害者雇用納付金申告における注意点

常用雇用労働者数が 100人を超える月が年間で5ヶ月以上ある場合、納付金額が「0円」であっても、障害者雇用納付金申告書の提出が必要です。なお、除外率の適用事業所を有している場合でも、申告の要否は除外率を適用する前の常用雇用労働者数の総数に基づいて判断します。

除外率設定業種の調整金支給申請における注意点

調整金・報奨金の支給申請では除外率は適用されません。そのため、障害者雇用状況報告書に記載した法定雇用障害者数と一致しない場合がある点に注意が必要です。

除外率設定業種の最新データ(2025年度)から見る現状と共通点

厚生労働省発表の最新調査結果(2025年度)から除外率設定業種の現状を考察

    障害者数 労働者総数 実雇用率 法定雇用率
達成企業の割合 
    ( )表記は前年度比較の増減率
産業 総計 704610(+4.0%) 29210526.0(+3.7%) 2.41%(±0.00%) 46.0%(±0.0%)
除外率 設定業種 建設業 20652.5(+8.9%) 1033106.0(+15.9%) 2.00%(-0.13%) 43.5%(-4.0%)
運輸業・郵便業 42058.5(+6.3%) 1836817.5(+13.6%) 2.29%(-0.16%) 48.6%(-4.0%)
教育・学習支援業 10548.5(+4.4%) 571126.0(+6.6%) 1.85%(-0.04%) 31.9%(-1.3%)
医療・福祉 107127(+3.7%) 3549963.0(+9.7%) 3.02%(-0.17%) 55.4%(-2.9%)
上記以外の
主要な業種
製造業※ 171942.5(+1.9%) 7100555.5(-0.3%) 2.42%(+0.05%) 53.9%(+2.0%)
情報通信業 38325(+5.3%) 1863626.0(+1.3%) 2.06%(+0.08%) 28.5%(+1.7%)
卸売業・小売業 103114.5(+2.5%) 4413986.0(+0.1%) 2.34%(+0.06%) 38.1%(+1.4%)
金融業・保険業 26835.5(+2.8%) 1105703.0(-0.1%) 2.43%(+0.07%) 39.3%(+4.7%)
サービス業 90065(+6.0%) 3706571.0(+4.1%) 2.43%(+0.04%) 46.3%(+0.9%)

※「製造業」の中には除外率対象業種となり得る「非鉄金属第一次製錬・精製業」・「鉄鋼業」などがありますが、「製造業」区分の中で占める割合は限られているため表の中では除外率 設定業種としておりません。

以下を参照の上、弊社にて独自に作成

厚生労働省「令和7年(2025年)の障害者雇用状況の集計結果」

厚生労働省が2025年12月下旬に公表した「令和7年(2025年)の障害者雇用状況の集計結果」をもとに、「産業 総計」「除外率 設定業種(除外率の適用対象となり得る業種)」・「主要な業種(法定雇用障害者数の算定の基礎となる労働者数が多い業種)」の3区分にて表をまとめました。

まず、障害者の雇用総数を見ると、いずれの業態でも前年度比で増加しており、日本全体として障害者雇用の推進が引き続き進展している状況が伺えます。また、労働者総数についても大半の業種が増加しており、特に「除外率 設定業種」では、昨今の人手不足の影響もあって、前年度からの伸びが大きい点が特徴的です。次に、「実雇用率」と「法定雇用率達成企業の割合」に注目すると、「産業 総計」および「主要な業種」では前年度比でプラスとなっている一方で、「除外率 設定業種」ではいずれも前年度比マイナスとなっています。これは、2025年4月に実施された「除外率10%削減」の影響が大きく、「除外率 設定業種」では負担増が生じたことが背景にあると考えられます。


さらに、「産業 総計」および「主要な業種」では、障害者数の増加率が労働者総数の増加率を上回っているのに対し、「除外率 設定業種」ではこの関係が逆転しており、従業員数の拡大に障害者雇用の拡大が追い付いていない可能性が示唆されます。

法定雇用率が 2.7%へ引き上げられる時期が目前に迫っていることから、2026年度は特に法定雇用率未達の企業を中心に、採用ニーズが一段と高まることが予測されます。尚、2026年6月~7月半ばに提出が求められる「障害者雇用状況報告」では、適用される法定雇用率は現行の 2.5% のため、既に 2.5%を達成できる見込みの企業には直ちに影響はありません。しかし、2.7%への対応を後回しにすると、引き上げ時期に向けて採用競争がさらに激化する可能性があります。そのため、早期の採用計画策定が重要となります。

身体障害者の雇用が中心

民間企業全体・建設業・除外率職種における障害区分構成比の比較

以下を参照の上、弊社にて独自に作成

厚生労働省が公表した「令和7年(2025年)障害者雇用状況の集計結果」によると、民間企業における障害区分別の雇用者割合は、身体障害者が53.1%、知的障害者が23.0%、精神障害者が23.9% となっています。精神障害者の雇用割合が初めて知的障害者を上回るなど、障害者雇用の採用市場において大きな変化が生じています。


一方、独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)が2021年3月に実施した「除外率制度の対象業種における障害者雇用に関する実態調査」によれば、除外率設定業種では身体障害者の雇用が依然として中心であり、全体の8割以上を占めるとの結果が示されています。知的障害者・精神障害者の雇用割合は相対的に低く、多様な障害区分の雇用が進みにくい構造が確認されています。調査自体は2018年時点のものですが、最新データと照らしても傾向は大きく変わっていないことが分かります。
 

例えば、除外率が適用される可能性が高い建設業では、

  • 身体障害者:74.4%
  • 知的障害者:7.4%
  • 精神障害者:18.2%

となっており、いまも身体障害者の雇用に大きく偏っている状況が伺えます。

※いずれの数値も厚生労働省「令和7年(2025年)障害者雇用状況の集計結果」より算出

障害者雇用市場の状況・必要な対応方針について

厚労省が毎年発表している「障害者雇用状況の集計結果」をみると、近年の障害種別ごとの雇用推移は、知的障害者と精神障害者は増加している一方、身体障害については横ばい、または微減の傾向にあるため、身体障害者の雇用のみでは法定雇用率の達成は難しくなりつつあります。除外率設定業種の企業の場合、これまで進めてきたような身体障害者中心の雇用から、雇用が進んでいない障害区分(精神障害・知的障害)への雇用拡大も必要不可欠となります。また、これまでの「配慮が少なく一般部署にて採用が出来た人材層」から、特例子会社などの集合配置を職域とした「雇用吸収力が見込める層」への拡大も視野に入れなければ、今後の雇用率アップ・除外率廃止といった状況に対応できなくなる可能性が高いといえます。

障害者雇用の現市場環境については、以下の記事をご参照ください。

  • 身体障害者と精神障害者の年齢構成比較
  • 企業の雇用モデル分布 大企業と中小企業の違い

引き上げが続く法定雇用率への対応・削減が見込まれる除外率撤廃への対策

量の確保:集合配置型(事務センター・特例子会社)の雇用検討

「雇用吸収力が見込める層への拡大」を進めるにあたり、集合配置型の雇用を検討するのは有効な手段です。各事業部・グループ会社より、定型業務を切り出し、事務センター・特例子会社の設立を進めることを考えても良いかもしれません。本施策を進める場合、時間・工数ともにかかりますが、2~3年先を見越した場合、有効な打ち手となり得るでしょう。

除外率 設定業種 医療法人における障害者の採用事例

ここでは、とある医療法人での雇用事例をご紹介いたします。当該の社会医療法人では、病院・クリニック・看護学校等を運営しており、病院食を含め 1 日あたり約 8,000 食 を提供しています。調理業務はセントラルキッチン方式を採用しており、食材の下処理から盛り付けまで、工程ごとに明確にエリア分けされているため、業務の切り出しが容易です。この仕組みを活かし、知的障害者を中心に 30 名を超える障害者を雇用しています。
一方で、企業によっては「障害者が対応しやすい業務」をアウトソーシングしてしまっており、社内での受け入れが難しいケースも見受けられます。しかし、障害者雇用の推進を目的に、外部委託していた業務を内製化するという選択肢もあります。

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質の確保:採用する人材層の拡大を図りつつ、戦力性を担保する雇用検討

集合配置によって雇用人数の拡大が見込める一方で、「どのように戦力化するのか」「戦力人材の採用」という質の観点も避けては通れません。質の向上を図るために求められるのは、多様な障害者人材を受け入れる姿勢と環境です。例えば、弊社が着目している人材の一つに、障害特性を強みに主にデータ活用領域で活躍できる可能性が高い発達障害者が挙げられます。法的義務としての障害者雇用推進に留まらず、企業成長のための人材確保の切り口から、「戦力」として活躍が期待できるニューロダイバース人材の採用を検討するのも一手です。「多数の」雇用人数の確保に繋がる手法ではないですが、企業における多様な障害者人材受け入れの第一歩として検討されてみてはいかがでしょうか。

除外率 設定業種 建設業における障害者の採用事例

建設業を手掛ける企業では、ニューロダイバース人材の支援を手掛ける就労移行支援事業所を通じ、「障害があっても高度なITスキルを持つ人材」が確実に戦力になることを実感されました。選考実習をきっかけに社内では障害者雇用への理解が深まり、DX推進に貢献できる特性を持つ人材への期待も高まりました。以下リンクは、障害特性を強みとして活かし、DX推進に貢献する新しい障害者雇用モデルの事例の紹介です。

\これまで2,000人以上の障害者雇用を
実現してきたノウハウを体系化!/

障害者雇用を“戦力化”へつなげる次の一手を。高度ITスキルと特性を強みに変えられる人材をご紹介します。パーソルダイバースの企業の採用事例・お問い合わせはこちら
監修者 安原 徹 パーソルダイバース株式会社 法人マーケティンググループマネジャー

◆監修者 安原 徹
パーソルダイバース株式会社
法人マーケティンググループマネジャー

◆経歴
新卒でベンチャー系コールセンター会社に入社し、営業およびスーパーバイザー業務に従事。その後、株式会社エス・エム・エスにて看護師の人材紹介業務および医療・社会福祉法人の営業を担当。2016年にパーソルダイバース株式会社に入社し、キャリアアドバイザーおよびリクルーティングアドバイザー(RA)として勤務。関西エリアにおける精神障害のある方のご支援先の開拓に注力。2021年に関西RAマネジャーに着任。2023年より中部・西日本RAマネジャーを経て、現在は法人マーケティンググループのマネジャーとして勤務。