更新日:2025年12月26日/作成日:2019年6月26日

一定規模以上の企業には障害者雇用に取り組む義務があると障害者雇用促進法で定められており、法定雇用率を達成できない場合は、納付金を払う必要があります。今回は障害者雇用に不安を感じている方向けに、雇用の義務の内容や違反した場合の罰則、障害者雇用促進のポイントについて解説します。

障害者雇用促進法では、障害者雇用に取り組む義務が定められています。また、一定以上の規模の企業は法定雇用率を満たす必要があり、法定雇用率に満たない場合は納付金が徴収されます。しかし、具体的な義務の内容や自社で何人雇用すべきかわからず、不安に感じている人もいるでしょう。

この記事では、障害者雇用に不安を感じている方向けに、障害者雇用促進法における障害者雇用の義務の内容や雇用義務に違反した場合の罰則、障害者雇用を推進するためのポイントについて解説します。

目次

障害者雇用の義務とは?基本をわかりやすく解説

障害者雇用の義務は「障害者雇用促進法」によって定められています。「障害者雇用促進法」の背景や目的、対象となる障害者と雇用義務のある企業について解説します。

障害者雇用促進法とは?目的と背景

障害者雇用促進法は、障害者の職業の安定を図ることを目的とする法律です。障害のある方に対し職業生活における自立を実現するための職業リハビリテーション推進について、また事業主が障害者を雇用する義務をはじめ、差別の禁止や合理的配慮の提供義務等を定めています。

目的と理念・意義

この法律の背景には、全ての国民が障害の有無に関わらず、個人として尊重されること、全ての国民が障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会を実現しようというノーマライゼーションの理念があります。そして、職業生活においても、障害者は経済活動を構成する労働者の一員として、本人の意思と能力を発揮してはたらくことができる機会を確保されることを目的としています。

障害者雇用が義務付けられた背景

日本の障害者雇用促進政策は、全ての国民が障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合う「共生社会の実現」の理念のもとで進められてきました。障害者雇用促進法の変遷や、雇用が義務化された社会的背景を紹介します。

障害者雇用促進政策の流れ
  • 1960年「身体障害者雇用促進法」の制定

第二次世界大戦が終わり、日本国内では「傷痍軍人」と呼ばれる戦争での負傷などによる身体障害者の増加が問題となりました。彼らを雇用するための法整備が急務となり、欧州の「法定雇用率方式」を取り入れた身体障害者雇用促進法が制定され、これが現在の障害者雇用促進法の基盤に当たります。

  • 1976年 法定雇用率制度の義務化

その後1976年には、身体障害者雇用促進法が改正されます。法定雇用率の達成は従来義務ではありませんでしたが、この法改正によって法定雇用率が達成すべき義務となりました。また義務化にともない、納付金制度が導入されています。

  • 1998年に知的障害者、2018年に精神障害者が新たに雇用義務の対象に

障害者雇用の対象は、法制化当初は身体障害者のみでしたが、時代の流れに即して拡大が進みました。1987年には法令の名称が「身体障害者雇用促進法」から「障害者雇用促進法」へと変更。その後1998年には知的障害者も雇用義務の対象に含まれ、2018年には発達障害を含む精神障害者も含まれるようになりました。

日本の障害者雇用政策の歴史については下記の記事でもご紹介しています。

対象となる障害者

障害者雇用促進法の条文では、障害者を「身体障害や知的障害、発達障害を含む精神障害、その他の心身の機能の障害により、長期にわたり職業生活に相当の制限を受ける者、あるいは職業生活を営むのが著しく困難な者」と定めています。

この条文から、障害者を下記のようにA~Eに分類してみます。

A:身体障害者(身体障害者手帳保持者。重度身体障害者も含む)
B:知的障害者(療育手帳など、各自治体が発行する手帳の保持者。および知的障害者と判定する判定書保持者。重度知的障害者も含む)
C:精神、発達障害者(精神障害者保健福祉手帳の保持者)で、症状安定し、就労ができる人
D:精神障害の特性・疾患があるが、症状安定し、就労ができる人(手帳を持たない人)
E:A~D以外の心身機能の障害があるが、手帳を持たない人

このうち、次の章で詳しく触れる「障害者雇用率(法定雇用率)」の算定対象となるのは、A〜Cとなります。

つまり、障害者手帳を所持していない障害者は算定対象外となります。一方で、障害者手帳がある方だけを対象に雇用推進するのではなく、手帳を持たず、さまざまな困りごとを抱えた個人や企業を支える仕組み、そしてその延長に誰しもがはたらきやすい職場づくりが「ノーマライゼーション」の観点からは求められます。

対象となる企業規模と適用範囲

障害者雇用の義務の対象となるのは、常用雇用労働者数が40人以上の事業主です。しかし、2026年7月に民間企業の法定雇用率が2.5%から2.7%に引き上げられるに伴い、対象となる企業も常用雇用労働者数37.5人以上の企業に変更となります。

2026年6月まで 2026年7月から
対象となる企業規模 常用雇用労働者数が40人以上 常用雇用労働者数37.5人以上
法定雇用率 2.5% 2.7%

これまで雇用義務がなかった企業も、本格的に雇用に取り組む必要があります。

障害者雇用率(法定雇用率)に相当する障害者の雇用義務

障害者雇用促進法で定められている義務のうち、企業にとって重要になるのが、障害者雇用率(法定雇用率)です。全ての事業主に、算出された雇用率に相当する人数分、障害者を雇用することが義務付けられています。

障害者雇用率(法定雇用率)の算出方法

  • 障害者雇用率(法定雇用率)の算出方法

雇用率は上記の式で算出することとされています。2025年12月時点の民間企業の法定雇用率は2.5%です。

実雇用率と雇用すべき人数の算出方法

企業が、自社で雇用すべき障害者の数は何人になるのか、雇用率を達成しているかどうかを確認するには、以下の計算式で求めます。

  • 実雇用率=障害者である労働者数+障害者である短時間労働者数×0.5 / 労働者数+短時間労働者数×0.5
  • 法定雇用障害者数(障害者の雇用義務数)=(常用労働者数+短時間労働者数×0.5)×障害者雇用率(2.5%)

雇用状況についての紹介は下記記事をご覧下さい。

雇用数をカウントする際のルール

基本的に週所定労働時間が30時間以上の障害者は1人分、週所定労働時間が20時間以上30時間未満の障害者は0.5人分と計算します。

しかし、重度身体障害者・重度知的障害者、精神障害者については、週所定労働時間が30時間以上の場合に2人分、20時間以上30時間未満の場合は1人分、10時間以上20時間未満の場合は、0.5人分として計算できます。

また、当分の措置として週所定労働時間が20時間以上30時間未満の精神障害者は1人分としてカウントすることになっています。

所定労働時間 30時間以上 20時間以上30時間未満 10時間以上20時間未満
身体障害者 1 0.5
重度身体障害者 2 1 0.5
知的障害者 1 0.5

重度知的障害者 2 1 0.5
精神障害者 1 1 0.5

※障害者雇用率制度や計算方法の詳細は、別記事で詳しく紹介しています。

障害者雇用に関する最新法改正(2024年)のポイント

障害者雇用促進法は、障害者の雇用安定を目的として都度改正が行われています。法改正の主な目的は、障害者を雇用する場合に事業者に課されるさまざまな負担の軽減です。先にご紹介した雇用義務の対象拡大にとどまらず、さまざまな助成金制度を設けるなど多くの取り組みが推進されています。

今後もはたらき方の多様化や情勢変化にともない、法令の改正は都度行われていくことが予測できるでしょう。

ここでは、現在施行されている改正障害者雇用法について、雇用する企業側に影響する主なポイントを紹介します。

1. 法定雇用率の引き上げ

2024年4月の改正障害者雇用促進法によって、民間企業は2.3%から2.5%へ、さらに2026年7月からは2.7%に引き上げられることが決定しています。

2. 短時間勤務者も雇用率に算入

2024年4月施行の改正障害者雇用促進法によって、これまでは週所定労働時間が10~20時間未満の精神・重度身体・重度知的障害者は法定雇用率の算定対象外とされていましたが、今回の改正で実雇用率に算入することが認められることになりました。

3. 精神障害・発達障害者も雇用義務対象範囲に

発達障害を含む精神障害者は2006年の改正を機に、雇用率の対象に加える事ができるようになりました。そして2018年4月より新たに雇用義務の対象となり、法定雇用率の算定基礎の対象に加えられています。障害種別等における雇用“義務”とは、必ず雇用しなければならない、ということではありません。雇用義務の対象となる障害者の範囲に、発達障害を含む精神障害者が新たに加えられた、という趣旨です。

4. 合理的配慮の提供が義務化

合理的配慮とは、障害者が他の人と平等に生活できるよう、一人ひとりの特性や場面に沿った、過度な負担にならない程度の変更・調整のことです。現在、障害者雇用促進法と障害者差別解消法によって、障害者の合理的配慮の提供は企業の義務と定められています。

障害者雇用促進法における職場での合理的配慮の具体例としては、下記のような例があります。

  • 感覚過敏への対応:強い光や音に敏感な方には、サングラスや耳栓の使用を認める
  • 集中しやすい環境づくり:注意散漫の特性がある方に、人の出入りが少ない座席配置を行う
  • 避難時の安全確保:下肢機能障害や視覚・聴覚障害のある方には、災害時にサポートする役割の社員を事前に決めておく

ただし、合理的配慮の具体的な内容や程度については、明確に定められているわけではありません。障害の内容や周囲の環境、配慮をする側の状況により変わるため、具体的にどんな配慮が必要で実現可能かは、障害がある人と、事業者や周囲の人たちと相談の上で決めるものとされています。選考活動や入社時、どのような配慮が必要かを確認・検討すること、雇用後も必要に応じて都度、見直していくことが大切です。

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企業の雇用に関わる4つのポイント

障害者雇用の義務において企業の雇用に関わる4つのポイントについて解説します。

(1)障害者雇用率が未達成の事業主は納付金を収める

障害者の雇用促進と安定を図るための制度として「障害者雇用納付金制度」があります。障害者雇用率(法定雇用率)が未達成の企業などから納付金を徴収し、そのお金を主たる財源として、法定雇用率を達成している企業に調整金や報奨金、助成金を支給するという仕組みです。

障害者雇用の納付金とは

法定雇用率を満たさない事業主は、不足1人につき50,000円の障害者雇用納付金が徴収されます。従業員数や時期によって金額が変動するので注意が必要です。
この納付金を「罰金」と捉えている方もいるかもしれませんが、障害者雇用の義務を果たしている企業と果たしていない企業の経済的な負担を調整するために支払うものであり、罰金ではありません。

(2)障害者雇用率を達成している事業主には調整金・助成金が支給される

障害者雇用の調整金とは

法定雇用率を達成している事業主は、一定の調整金が支給されます。支給額は以下の通り、常用労働者の人数によって異なります。

  • 常用労働者100人超の企業:月額29,000円×超過人数分の調整金
  • 常用労働者100人以下で、障害者を常用労働者の4%、または6人のうち多い数を超えて雇用している企業:月額21,000円×超過人数分の報奨金

納付金や調整金の詳細は別記事で詳しくまとめています。

障害者雇用の助成金とは

雇用を推進するため、企業は国からさまざまな助成金を受け取ることができます。以下の3つの分類があり、それぞれにさまざまなコースがあります。

  • トライアル雇用に対する助成金
  • 継続雇用に対する助成金
  • 継続して雇用する障害のある方への配慮に対する助成金

※障害者雇用に関する助成金は種類が多いため、どのような時にどの助成金を申請できるのか、わかりにくいと感じる方も多いようです。助成金の種類や支給にあたっての要件、注意点などを別記事でまとめています。

(3)在宅就業者特例報奨金が支給される

自宅などで就業する障害者の方(在宅就業障害者)に、従業員が100人未満の企業が仕事を発注する場合、障害者雇用納付金制度において、企業には報奨金の支給が行われます。業務の発注には2つのパターンがあり、企業が在宅就業障害者へ直接仕事を発注する場合と、 企業が在宅就業支援団体(在宅就業障害者に対する支援を行う団体として厚生労働大臣に申請し、登録を受けた法人)を介して在宅就業障害者に仕事を発注する場合があります。

特例報奨金の金額算出方法は、以下の計算式で行います。

  • 報奨額(17,000円)×(年間の在宅就業障害者への支払総額÷評価額350,000円)=在宅就業者特例報奨金

(4)在宅就業者特例調整金が支給される

在宅就業者特例調整金とは、従業員が100名を超える企業が在宅就業障害者に対して仕事を発注した場合、企業に支給される調整金です。特例報奨金・特例調整金のいずれも、障害者雇用納付金制度において行われ、法定雇用率未達の企業から徴収した納付金によって支給が行われています。こちらについても業務の発注には、企業が在宅就業障害者へ直接仕事を発注する場合と、 企業が在宅就業支援団体(在宅就業障害者に対する支援を行う団体として厚生労働大臣に申請し、登録を受けた法人)を介して在宅就業障害者に仕事を発注する場合の2パターンがあります。

特例調整金の金額算出方法は、以下の計算式で行って下さい。

  • 調整額(21,000)円×(年間の在宅就業障害者への支払総額÷評価額350,000円)=在宅就業者特例調整金

なお、(3)在宅就業者特例報奨金 と(4)在宅就業者特例調整金 において障害者の就業する場所が「在宅」とされていますが、仕事をする場所は「自宅など」となっています。つまり、就業場所は自宅だけと限られているわけではありません。自宅でなくても、事業所以外の業務可能な場所が提供されていれば、この報奨金・調整金制度の対象となります。

障害者雇用義務を違反した場合の罰則はある?企業側のデメリット

法律に定められている雇用義務を順守しない場合、どのような措置が取られるのか気になる方も多いのではないでしょうか。違反した場合に受ける罰則を大きく分けて3つにまとめました。

納付金が徴収される

前の章でも触れましたが、基本的に不足1人につき月額50,000円の納付金が徴収されます。従業員数や時期によって金額が変動します。

納付金は1人つき50,000円であるため、例えば不足人数が5人の場合は、50,000円×5人でひと月で25万円の納付金を支払う必要があります。この状態が1年続けば、25万円×12ヶ月で年間300万円の費用になります。

納付金は罰金ではありませんが、特に規模が小さい企業にとっては大きな負担となるため、早めに対策を行うことが重要です。

また、障害者雇用率を達成できていない場合、納付金を徴収される以外でも自治体の入札に
参加できないなどのデメリットもあります。

改善指導が入る

ハローワークより「障害者の雇入れに関する計画」の作成・提出が求められますが、それでも改善が遅れている企業に対しては、企業名の公表を前提とした労働局・厚生労働省からの指導が入ることがあります。

企業名が公表される

雇入れ計画の適正な実施に関し勧告を受け、一連の指導を受けたにも関わらず改善が見られない企業があった場合、企業名が公表され社会的な信頼性を失うことになります。

企業名の公表により、企業ブランドが低下すれば、新卒採用や中途採用などに影響する可能性もあります。また、企業ブランドの低下によって株価に悪影響が出た場合は、株主への説明が必要になる場合もあるでしょう。

なお、企業名が公表されたら終わりではなく、その後も改善に向けた取り組みを行なわなければなりません。企業名公表後も状況が改善されない場合は、再度企業名が公表される可能性もあります。

企業名公表までの流れ

ハローワークは、各企業が提出する「6月1日時点の障害者雇用状況報告書」(通称:ロクイチ報告)をもとに、改善命令や、先に紹介した「障害者の雇入れに関する計画」の提出を求めていくことになります。
企業名公表までの大まかな流れとしては以下の通りです。

1. 事前の告知

原則として、「期日までに不足分の人数を雇用しなければ、雇入れ計画書の作成命令が発令する」という主旨の事前告知があります。ただし、雇用の期日はおおよそ1~2ヶ月間と短期間であり、採用活動をスムーズに進められる体制がなく間に合わない場合、次の2. へと移行してしまいます。

2. 雇用計画命令、「障害者の雇入に関する計画書」の提出指導 (2年間の経過観察)

この期間は“雇用経過の観察と雇用改善の実施中”という位置づけになります。
この間、ハローワークが主催する、障害者雇用に関する合同面接会参加への案内があります。
参加は任意で強制力はありませんが、雇用達成のために参加されることをおすすめします。

3. 特別指導 (社名公表直前の猶予9か月間)

雇入れ計画書通りに改善が進まず、実雇用率が、最終年の前年6月1日現在の全国平均実雇用率を下回る場合、もしくは雇用不足数が10名以上の場合、特別指導となります。

4. 企業名公表(3月31日まで)

障害者雇用促進法第47条に基づき、雇用状況に改善が見られない企業の企業名が公表されます。

下記いずれかに該当する場合、1. や2. の流れに移行しやすいという基準があります。
a 実雇用率が全国平均実雇用率未満であり、かつ不足数が5ポイント以上の場合
b 実雇用率に関係なく、不足数10ポイント以上の場合
c 雇用義務数が3ポイントから4ポイントの企業(労働者数120人~1999人規模企業)で あって雇用障害者数0人

上記を鑑みると、全国平均の雇用率(2024年度の場合は2.41%)を超えているか?不足数が5ポイント以上でないか?を意識する必要性があるでしょう。
実際に、多くの企業で不足数が5ポイントになった時点で、採用活動を積極的に行う傾向が見られます。

障害者雇用専門の民間事業者を活用する

「1. 事前の告知」・「2. 雇用計画命令」のフェーズになり、慌てて活動を開始する法人企業も少なくありません。「障害者雇用担当を初めて任された」、「短期間での採用を指示された」場合は、障害者雇用専門の民間事業会社に相談してみると、今後の活動の見通しを立て易くなります。また「採用活動を行っているものの、ポイントの純増に繋がらない」場合、複数のボトルネックが混在しているケースも散見されます。まずは、お気軽にお問い合わせ下さい。

障害者雇用を推進するための企業の取り組み方

理念・意義、社会的責任と法的義務に対する社内理解を深める

障害者雇用促進法の根底には「社会連帯」と「共生社会の実現」、つまり障害者も社会の一員としてさまざまな分野に参加して能力を発揮できるように事業主の理解と協力が必要である、という考えがあります。まずは人事部や配属現場、経営層に対し、研修や勉強会を通じて、雇用の理念や意義、社会的責任と法的義務を説明し、理解を深めてもらいましょう。

社内の受け入れ体制を整備する

障害者雇用を推進するためには、社内の受け入れ体制を整えることも重要です。受け入れ体制の整備はバリアフリーなどの設備面での整備だけでなく、障害特性にあわせた業務内容の調整・環境の調整も重要です。また、長く働いてもらうためには、評価指標やキャリアパスなど、人事制度を整えることも大切になります。

現状を正しく把握し、雇用計画を立てる

2026年7月には法定雇用率が2.7%に引き上げられます。企業は2.7%の雇用率達成を念頭に置いた採用計画を立てることが不可欠です。まずは、自社で必要な雇用はどの程度か、雇用が不足している場合は何人雇用する必要があるかを算出します。また、利用できるさまざまな助成金を把握し、計画に織り込んでおきましょう。
現状の計画のままでは雇用率を達成できない場合は、新たな業務の創出や切り出し、雇用形態や人材要件、雇用する障害者層の拡大、配属先や受け入れ体制、採用手法などを見直し・検討する必要があります。

公的相談窓口や障害者雇用支援サービスを活用する

障害者雇用の代表的な窓口として、ハローワークがあります。ハローワークでは、障害者の採用や職場環境の整備などさまざまな内容を相談できます。また、障害者トライアル雇用やジョブコーチによる支援、各種助成金などの案内も行っています。

ハローワーク以外にも公的な相談窓口は多くあり、主な相談先は下記の通りです。

  • 障害者就業・生活支援センター
  • 地域障害者職業センター
  • 高齢・障害・求職者雇用支援機構

上記以外にも、各都道府県が行っている障害者雇用に関するセミナーや事例集ハンドブック、障害者雇用事例リファレンスサービスなどを活用するのもおすすめです。障害者雇用のノウハウがない企業や、進め方が分からない企業は、こうした公的サービスを利用すると良いでしょう。

また、障害者雇用についてサポートやアドバイスを行っているのは、公的機関だけではありません。民間にも障害者雇用についてのコンサルティングを行っている事業所があるため、そちらの利用もおすすめです。

パーソルダイバースでは、障害者雇用に取り組む人事・採用担当者や経営者に向け、障害者雇用に関するさまざまな支援サービスを提供しています。企業のニーズや雇用経験に合わせ、6つのソリューションをご用意していますので、自社の雇用に課題を感じている企業様はぜひお問い合わせ下さい。

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採用後の定着状況や問題点を整理する

既に雇用している障害者の定着状況を把握しましょう。自社の雇用定着率や離職率はどれくらいか、もし定着に課題がある場合はどこに原因があるのかを整理してみましょう。

障害者が定着しない原因は企業によってさまざまですが、一例として

  • あらかじめ定めている人材要件と、実際に採用した障害者の職務能力、意欲に乖離がある。
  • 採用時に、必要な合理的配慮について確認できておらず、配慮が不十分である。
  • 社内での障害者雇用に対する理解が不足しており、差別的な発言や行動がある。
  • 現場の負担が多く、雇用管理・マネジメントが行き届いていない。
  • 本人の職務能力と、業務内容や成果・目標が合っていない、または必要な業務が与えられていない。
  • 健康面で問題があった際のサポート体制が確立できていない。
  • 障害者を適正に評価する人事評価制度に課題がある。

…などが考えられます。これらのうち自社に当てはまる原因はないか、見直してみましょう。

障害者雇用に関する助成金を利用する

障害者雇用に関する助成金をうまく利用することで、採用コストを抑えることができます。例えば、トライアル雇用に関する助成金では、基本的に支給対象者1人につき月額最大4万円が最長3ヶ月、精神障害者を初めて雇用する場合は、月額最大8万円が最長3ヶ月支給されます。

また、2024年4月から新たに「障害者雇用相談援助助成金」の支給が始まりました。この助成金は、企業に直接支給されるものではなく、相談援助事業を実施した事業者に対して支給される点に注意が必要です。ただし、この制度により、企業はその事業者から無料で相談・援助サービスを受けることが可能になります。雇用管理や定着支援に関する専門的なアドバイスを、費用負担なく受けられるのは大きなメリットです。

企業規模は問いませんが、特に中小企業の雇用支援拡充を意図して設定されています。雇用経験が限られ、個別性の高い課題を抱えている中小企業は、幅広い知見と実績を持った業者の支援を活用してみるのも良いでしょう。

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障害者の新規採用や雇用の継続など、さまざまな場面で利用できる助成金がありますので、自社にあった助成金を探してみて下さい。

障害者雇用の義務に関するよくある質問

ここからは、障害者雇用の義務に関するよくある質問について解説します。

アルバイトやパートは雇用率に含まれる?

アルバイトやパートも条件を満たしていれば雇用率に含まれます。例えば、アルバイトやパートでも、常用雇用労働者で週所定労働時間が30時間以上であれば1人とカウントできます。障害区分や程度にもよりますが、常用雇用労働者で週所定労働時間が10時間以上より0.5人としてカウントできます。

障害者手帳がない人でも対象になる?

障害者手帳を持たない人は算定の対象外です。障害者雇用率制度では、身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳の所有者が実雇用率の対象になります。

なお、障害者雇用に関する助成金については、発達障害や統合失調症や双極性障害など、手帳を所有していない人も対象になる場合があります。また合理的配慮の文脈では、障害者手帳の有無は関係がない点にも注意が必要です。

雇用率を未達成の企業はどのくらいある?

民間企業の法定雇用率が2024年に2.5%に引き上げられた影響から、法定雇用率が未達成の企業は前年より増えています。特に小規模の企業が未達成の割合が高い傾向にあり、2024年から対象となった常用雇用労働者数40.0~43.5人未満の企業では、7割近い企業が達成できていません。

企業の規模別の達成率は以下の通りです。

常用雇用労働者数 法定雇用率未達成の企業の割合
40.0~100人未満 55.3%
100~300人未満 51.4%
300~500人未満 59.7%
500~1,000人未満 55.5%
1,000人以上 42.5%

在宅勤務の障害者は雇用率に算入される?

在宅勤務の障害者も条件を満たせば実雇用率にカウントできます。具体的には「事業所における通常の勤務日数が一週間当たり一日未満であり、かつ一週間当たりの事業所への出勤回数が二回未満」が条件となります。ただし、「一級または二級の視覚障害者」など条件を満たす身体障害者については事業所への出勤回数が一回未満とされています。

障害者の在宅勤務については下記記事でも詳しく紹介しておりますので、ぜひ参考にして下さい。

障害者の雇用義務を正しく理解しよう

障害者雇用の義務は障害者雇用促進法により定められており、常用雇用労働者数が40人以上の事業主が対象となります。2025年時点で民間企業の法定雇用率は2.5%であり、事業主は法定雇用率に基づいた人数の障害者を雇用する必要があります。

法定雇用率を達成できない場合、常用労働者数が100人を超える企業では、障害者雇用納付金が徴収され、企業の負担となります。さらに、2026年の7月には法定雇用率が2.7%に引き上げられる予定のため、早めの対策が重要です。

障害者雇用を推進したいものの、どうして良いか分からないという企業様は、ぜひパーソルダイバースまでお気軽にご相談下さい。

監修者   安原 徹 パーソルダイバース株式会社 法人マーケティンググループマネジャー

パーソルダイバース株式会社
法人マーケティンググループマネジャー
安原 徹

新卒でベンチャー系コールセンター会社に入社し、営業およびスーパーバイザー業務に従事。その後、株式会社エス・エム・エスにて看護師の人材紹介業務および医療・社会福祉法人の営業を担当。2016年にパーソルダイバース株式会社に入社し、キャリアアドバイザーおよびリクルーティングアドバイザー(RA)として勤務。関西エリアにおける精神障害のある方のご支援先の開拓に注力。2021年に関西RAマネジャーに着任。2023年より中部・西日本RAマネジャーを経て、現在は法人マーケティンググループのマネジャーとして勤務。