更新日:2025年11月4日/作成日:2019年3月15日

障害者雇用を行うことは、単に法律上の義務を果たすというだけではなく、企業としての信頼度が高まったり、職場環境や業務見直しのきっかけになったり、職場における多様性に対する理解が生まれるといったメリットがあります。
企業は、障害者の雇用を推進するに当たり、国からさまざまな助成金を受け取ることができます。
しかし、障害者雇用に関する助成金は種類が多いため、どのようなときにどの助成金を申請できるのかよくわからないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

目次

障害者雇用の助成金制度とは

障害者雇用の助成金制度は、企業などが障害者の雇用を促進するために設けられています。ここでは、障害者雇用の助成金制度について、その目的や対象となる方などをご説明します。

障害者雇用の助成金制度の目的

まず、助成金制度の大まかな概要や目的について解説します。

障害者雇用に関する助成金制度は、企業が障害のある方を雇用しやすくするために国が設けた支援制度です。障害者の特性に応じた職場環境の整備には、一定の費用や手間がかかるため、それらを軽減する目的で助成金が支給されます。

障害者それぞれの障害特性に配慮し、労働環境を整えるためには、一時的な出費や一定の手間を伴います。この出費や手間を軽減し企業がスムーズに障害者雇用を進められるよう、助成金制度が設けられているのです。

障害者雇用の助成金制度の対象者

障害者雇用の助成金制度の対象となるのは、どのような人なのでしょうか。
まず対象者として挙げられるのは、実雇用率の算定対象となる「障害者手帳を持っている方」です。さらにそれに加えて、統合失調症、うつ病・躁病・躁うつ病、てんかんの方も、手帳を持っていなくても助成の対象となります。

障害者雇用の助成金制度の種類と一覧

障害者雇用の助成金制度とひと口にいっても、助成金の種類にはさまざまなものがあります。おもに以下のような種類の助成金制度があり、さまざまなケースに向けた助成金を選ぶことが可能です。

トライアル雇用助成金
  • 障害者トライアルコース
  • 障害者短時間トライアルコース
継続雇用に対する助成金
  • 特定求職者雇用開発助成金
  • キャリアアップ助成金(障害者正社員化コース)
継続して雇用する障害のある方への配慮に対する助成金
  • 障害者介助等助成金
  • 重度障害者等通勤対策助成金
  • 障害者作業施設設置等助成金

上記の各種助成金制度については、次の見出しから詳細に解説しますので、ぜひご参考にして下さい。

障害者トライアル雇用助成金

障害者トライアル雇用制度は、経験や技術などが足りないことから就職が難しい求職者の早期就職や雇用機会の創出を目的に創設された制度です。障害のある方には、週の所定労働時間が20時間以上の「障害者トライアルコース」と、10時間以上20時間未満の「障害者短時間トライアルコース」の2種類が用意されています。

障害者トライアルコース

障害者トライアルコースは、将来的に継続雇用(1年を超える期間の雇用)へ移ることを目標として、就職が困難な障害のある方を原則3ヶ月契約で雇用します。その間に求職者の適性や能力を見極め、問題がなければ継続雇用へ、継続雇用が難しいなら3ヶ月で契約満了として雇用を終わらせることができます。

対象となる障害のある方

  • 障害者トライアル雇用によって継続雇用する労働者の雇入れを希望している方
  • 以下の4項目のいずれかにあてはまる障害のある方
  1. 就労経験がない職業に就くことを希望している方
  2. 過去2年以内に離職が2回以上ある方
  3. 離職期間が6ヶ月以上になる方
  4. 重度身体障害者、重度知的障害者、精神障害者は上記1~3の要件を満たさずとも対象となります。

おもな雇入れの条件

  • ハローワークまたは民間の職業紹介事業者等の紹介により雇い入れること
  • 障害者トライアル雇用等の期間について、雇用保険被保険者資格取得の届出を行うこと

※Web媒体等からの直接採用は対象にはなりません。

対象となる障害のある方

  • 精神障害者を雇用する場合は、受給期間は最長で6ヶ月となっており、最初の3ヶ月は月額最大80,000円、その後の3ヶ月は月額最大40,000円を受け取ることができます
  • 精神障害者の雇用ではない場合、最長3ヶ月で月額最大40,000円となります

計画書の提出

  • トライアル雇用開始後から2週間以内に、労働条件が確認できる書類とあわせ、実施計画書を提出する必要があります。

※トライアル雇用の途中で継続雇用に移行した場合や自己都合で離職した場合は、支給申請期間が変わります。

障害者短時間トライアルコース

障害者短時間トライアルコースは、基本的な内容は障害者トライアルコースと同じですが、最初は所定労働時間週10時間以上20時間未満から始めて、トライアル期間中に週20時間まで増やし、最終的には継続雇用につなげることを目指すものです。

対象となる障害のある方

  • 障害者短時間トライアル雇用によって継続雇用する労働者の雇入れを希望している方
  • 精神障害者または発達障害者であること

おもな雇入れの条件

  • ハローワークまたは民間の職業紹介事業者等の紹介により雇い入れること
  • 3~12ヶ月の短期間トライアル雇用を行うこと

受給額

  • 月額最大40,000円、最長12ヶ月

障害者トライアル雇用助成金の注意点

  • 障害者トライアル雇用に関しては、「トライアル雇用求人」専用として求人票を出す必要性があります。面接後にトライアル雇用の検討・求職者へ打診することはできないため、注意が必要です。
  • 求人票を作成する時点で、雇用する人数を確定する必要があり、採用計画数を超えた障害者トライアル雇用は認められていません。例えば、採用計画人数が4名に対して、5名以上のトライアル雇用を行い、その中から4名を選んで継続雇用するようなやり方はできません。
  • 雇用対象者の選考は、書類ではなく面接で行う必要があるため、あらかじめ認識しておきましょう。

障害者の継続雇用に対する助成金

障害のある方を継続雇用する場合に受給できる助成金について、主要なものを3つご紹介します。

特定求職者雇用開発助成金

高年齢者や障害のある方といった就職困難者を継続して雇用する企業が受給できる助成金です。障害者雇用関連の助成金の中で、最も一般的なものです。助成の対象によってコースが分かれており、身体障害者、知的障害者、精神障害者に対しては「特定就職困難者コース」のコースがあり、障害者手帳を持たない難治性疾患患者や発達障害者に対しては「発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース」があります。

※障害者初回雇用コースは2021年(令和3年)3月31日をもって廃止されました。

■特定就職困難者コース

おもな受給要件

  • ハローワークまたは民間の職業紹介事業者等の紹介により雇い入れること
  • 雇用保険一般被保険者又は高年齢被保険者として雇い入れ、継続して雇用することが確実であると認められること

※対象労働者の年齢が65歳以上に達するまで継続して雇用し、かつ、当該雇用期間が継続して2年以上であることをいいます。
※雇用継続が認められる場合の雇用形態は、基本的には「無期雇用契約」「有期雇用契約(自動更新)」です。詳細については、管轄のハローワークや都道府県労働局に確認することをおすすめします。
※本助成金に係る取扱いの届出を行っているかは、民間の職業紹介事業者等に直接確認が必要です。

受給額

対象労働者の年齢や障害の程度、1週間当たりの労働時間により以下のように分類されています。

対象労働者 支給額 助成対象期間 支給対象期ごとの支給額
短時間労働者以外の者 高年齢者(60歳以上)、母子家庭の母等

60万円

(50万円)

1年

(1年)

30万円×2期

(25万円×2期)

重度障害者等を除く身体・知的障害者

120万円

(50万円)

2年

(1年)

30万円×4期

(25万円×2期)

重度障害者等(※2)

240万円

(100万円)

3年

(1年6ヶ月)

40万円×6期

(33万円※×3期)※第3期の支給額は34万円

短時間労働者(※1) 高年齢者(60歳以上)、母子家庭の母等

40万円

(30万円)

1年

(1年)

20万円×2期

(15万円×2期)

重度障害者等を含む身体・知的・精神障害者

80万円

(30万円)

2年

(1年)

20万円×4期

(15万円×2期)

※()内は大企業に対する支給額および助成対象期間、支給回数

支給対象期ごとの支給額は、支給対象期に対象労働者が行った労働に対して支払った賃金額が上限となります。

  • ※1 短時間労働者とは、1週間当たりの労働時間が20時間以上30時間未満である者。
  • ※2 重度障害者等とは、重度の身体・知的障害者、45歳以上の身体・知的障害者および精神障害者。年齢は入社時の年齢。

支給対象外となるケース

雇用時の状態や離職理由などにより、支給対象外となるケースがあります。いくつかのケースがありますので、詳細は管轄のハローワークや都道府県労働局に確認しましょう。

※支給対象外のケース例

  • 対象者と事前に内定の約束があった場合
  • 過去3年以内に対象企業で働いていた場合
  • 対象者を3ヶ月以上、訓練・実習を行った場合
  • 雇用する企業の代表者・取締役の、3親等以内の親族・血縁者である場合

※支給対象外の事業主例

  • 会社都合での退職/期間満了が対象者の入社前後の6ヶ月間の間に発生した場合 (契約社員等で、契約期間満了での終了であっても会社都合となり得ます。本人の希望で終了したいということが証明できる場合以外は、会社都合となります。離職証明書に書かれた離職理由が元になりますが、管轄のハローワークに、自社の会社都合での退職状況を確認することをお勧めします。)

助成対象期間中に対象労働者を解雇等した場合、以後3年間は不支給。⽀給対象期間の途中で対象労働者が離職した場合は支給されません。

■発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース

対象

発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コースの対象者は以下の条件を満たす人です。

①障害者手帳を所持していない方であって、発達障害または難病のある方(※1)

  • 発達障害の場合:発達障害者支援法第2条に規定する発達障害者(自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害など)
  • 難病の場合:別紙(出典先参照)の難病がある方

② 雇入れ日時点で満年齢が65歳未満である方

※1 「障害者の雇用の促進等に関する法律」第2条第2号に規定する身体障害者、同条第4号に規定する知的障害者、同条第6号に規定する精神障害者に該当する方は除きます。

障害者手帳を所持していない方が対象であるため、障害者雇用にて入社となった方に本コースを適用するケースは少数です。勘違いが起こりやすいため、気をつけましょう。

キャリアアップ助成金(障害者正社員化コース)

キャリアアップ助成金は、非正規雇用労働者のキャリアアップ促進のため、正社員への登用や処遇改善の取り組みを実施した事業主に対して助成する制度です。
障害者正社員化コースは「有期雇用ではたらく障害者を正規雇用(多様な正社員を含む)、または無期雇用に転換する」、または「無期雇用ではたらく障害者を正規雇用労働者に転換する」措置に対し助成されるものです。
※2021年4月より、障害者雇用安定助成金 (障害者職場定着支援コース)の助成対象であった「正規・無期転換」が、キャリアアップ助成金(障害者正社員化コース)に統合されました。

支給対象事業主の主な条件は以下の5点です。

  • 雇用保険適用事業主の事業主であること
  • 事業所ごとにキャリアアップ管理者を置いていること
  • 事業所ごとに対象労働者のキャリアアップ計画を作成し、管轄労働局長の受給資格認定を受けていること
  • 対象労働者の労働条件や勤務条件、賃金支払い状況など明示できる書類が用意でき、かつ賃金の算出方法も明らかにできること
  • キャリアアップ計画期間内(3~5年)に、キャリアアップに取り組んでいること

支給対象や支給額は以下の通りです。

支給対象 措置内容 対象者一人当たりの支給額
()は大企業の金額
支給
対象
各支給対象期における支給額
・重度身体障害者
・重度知的障害者
・精神障害者
有期雇用から
正規雇用への転換
120万円
(90万円)
1年 60万円×2期
(45万円×2期)
有期雇用から
無期雇用への転換
60万円
(45万円)
30万円×2期
(22.5万円×2期)
無期雇用から
正規雇用への転換
60万円
(45万円)
30万円×2期
(22.5万円×2期)
・重度以外の身体障害者
・重度以外の知的障害者
・発達障害者
・難病患者
・高次脳機能障害のある方
有期雇用から
正規雇用への転換
90万円
(67.5万円)
45万円×2期
(33.5万円×2期)
※第2期の支給額は34万円
有期雇用から
無期雇用への転換
45万円
(33万円)
22.5万円×2期
(16.5万円×2期)
無期雇用から
正規雇用への転換
45万円
(33万円)
22.5万円×2期
(16.5万円×2期)

助成を受けるためには、措置の実施前日までに、キャリアアップ計画を作成し、管轄の労働局やハローワークに提出する必要があります。
正規雇用などへ転換し、6ヶ月の賃金支払いが行われた後、支給を申請します。提出書類をもとに審査された上で、支給が決定されます。

【注意!】障害者雇用安定助成金 (障害者職場定着支援コース)の整理・統廃合

障害に応じた雇用管理や雇用形態の見直し、柔軟なはたらき方の工夫などを行っている事業者に対して助成する「障害者雇用安定助成金 (障害者職場定着支援コース)」は、2021年4月より、助成金の整理・統廃合が行われましたのでご注意下さい。

障害者雇用安定助成金 (障害者職場定着支援コース)の整理・統廃合と、2021年4月以降の取り扱い

措置 2021年4月以降
労働時間の調整や通院または入院のための特別な有給休暇を継続的に与えるなどの「柔軟な時間管理・休暇取得」 廃止
1週間の所定労働時間を延長する「短時間労働者の勤務時間延長」 廃止
有期契約労働者を正規雇用労働者または無期雇用労働者に、無期雇用労働者を正規雇用労働者に転換する「正規・無期転換」 キャリアアップ助成金へ統合
業務に必要な援助や指導を行う職場支援員を配置する「職場支援員の配置」 障害者介助等助成金へ統合
職場復帰のために必要な職場適応の措置を行い、中途障害者を職場復帰させる「職場復帰支援」 職場復帰等助成金へ統合
中高年障害者に対し、雇用継続のために必要な措置を行い、雇用を継続する「中高年障害者の雇用継続支援」 廃止
障害のある方の支援に関する知識を習得させるための講習を雇用する労働者に受講させる「社内理解の促進」 廃止
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継続して雇用する障害のある方への配慮に対する助成金

この助成金は、障害者の方の雇い入れに際し継続雇用を想定し、職場の整備、適切な雇用管理に必要な介助等の措置、通勤を容易にするための措置等を行う事業主が受給できるものです。この助成金の種類には、以下の3つがあります。

障害者介助等助成金

障害者介助等助成金は、障害のある方の雇用管理のため、介助者の配置などの措置を行う場合に受給できる助成金です。適切な雇用管理のために必要な措置を行う場合に、その費用の一部を助成します。
障害者介助等助成金には以下の4種類があります。

  • 職場介助者の配置または委嘱助成金:職場介助者を配置または委嘱することを助成
  • 職場介助者の配置または委嘱の継続措置に係る助成金:職場介助者の配置または委嘱を継続することを助成
  • 手話通訳・要約筆記等担当者の委嘱助成金:手話通訳、要約筆記等の担当者を委嘱することを助成
  • 障害者相談窓口担当者の配置助成金:合理的配慮に係る相談等に応じる者の増配置または委嘱することを助成

おもな受給要件

助成金を受給する事業主は、以下の4つの要件を全て満たしていなければなりません。

  • 各助成金に定められた「対象障害者」を新規に雇入れ、または継続して雇用する事業主であること
  • 各助成金に定められた「対象となる措置」を実施しなければ、「対象障害者」の雇入れ、または雇用の継続が困難であると認められる
  • 不正受給による障害者雇用納付金制度助成金の不支給措置がとられていないこと
  • 不正受給を行ったことにより返還金が生じている場合、当該返還の履行が終了していること

受給額

支給額・対象期間は各種類によって異なります。

重度障害者等通勤対策助成金

重度障害者等通勤対策助成金は、雇入れまたは継続して雇用する障害のある方の障害特性に応じて、通勤を容易にする措置をとる際に受給できる助成金です。通勤を容易にするために措置を行う場合に、その費用の一部を助成します。
重度障害者等通勤対策助成金には以下の8種類があります。

  • 重度障害者等用住宅の賃貸助成金:障害のある方を入居させるための住宅を賃借することを助成
  • 指導員の配置助成金:障害のある方5人以上が入居する住宅に指導員を配置することを助成
  • 住宅手当の支払助成金:障害のある方に住宅手当を支払うことを助成
  • 通勤用バスの購入助成金:障害のある方5人以上の通勤のためのバスを購入することを助成
  • 通勤用バス運転従事者の委嘱助成金:障害のある方5人以上の通勤のためのバスの運転手を委嘱することを助成
  • 通勤援助者の委嘱助成金:通勤援助者を委嘱することを助成
  • 駐車場の賃借助成金:自動車通勤を行う障害のある方のための駐車場を賃借することを助成
  • 通勤用自動車の購入助成金:自動車通勤を行う障害のある方のための自動車を購入することを助成

おもな受給要件

上記の8つの助成金を受給する事業主は、以下の3つの要件を全て満たさなければなりません。

  • 助成金ごとに定められた「対象となる措置」を実施しなければ、「対象障害者」の雇入れまたは雇用の継続が困難であると認められること
  • 不正受給による障害者雇用納付金制度関係助成金の不支給措置がとられていないこと
  • 不正受給を行ったことにより返還金が生じている場合、当該返還の履行が終了していること

受給額

支給額・対象期間は各種類によって異なります。

障害者作業施設設置等助成金

雇い入れる障害者の方の障害に配慮された、作業施設等の設置・整備を行う事業主に対して助成されるものです。

第1種作業施設設置等助成⾦

この助成金は、作業施設などの設置・設備を建築や購入によって実施する場合に受給できるものです。

おもな受給要件

この助成金を受給する事業主は、以下の3つの要件を全て満たしていなければなりません。
 

  • 支給対象となる作業施設などの設置・設備などを実施しないと、対象となる障害者の雇い入れや雇用の継続が困難と認められること
  • 不正受給により、障害者雇用納付金関係助成金の不支給措置を採られていないこと
  • 不正受給による返還金が発生している場合、それらの返還を完了していること

受給額

助成⾦の⽀給額は、規定によって算出した⽀給対象費⽤額に、助成率3分の2をかけた額か、あるいは以下の⽀給限度額のいずれか低い金額です。
 

  • ⽀給対象となる障害者1⼈当たり450万円
  • 作業設備については⽀給対象障害者1⼈当たり150万円
  • 短時間労働者(重度⾝体障害者、重度知的障害者または精神障害者を除く)の場合、限度額は1⼈当たり上記の半額となる
  • 同⼀の事業所で、同⼀年度当たり4,500万円が上限額

第2種作業施設設置等助成⾦

この助成金は、作業施設などの設置・設備を賃借によって実施する場合に受給できるものです。

おもな受給要件

この助成金を受給する事業主は、以下の3つの要件を全て満たしていなければなりません。
 

  • 支給対象となる作業施設などの設置・設備などを実施しないと、対象となる障害者の雇い入れや雇用の継続が困難と認められること
  • 不正受給により、障害者雇用納付金関係助成金の不支給措置を採られていないこと
  • 不正受給による返還金が発生している場合、それらの返還を完了していること

受給額

助成⾦の⽀給額は、規定によって算出した⽀給対象費⽤額に、助成率3分の2をかけた額か、あるいは以下の⽀給限度額のいずれか低い金額です。
 

  • ⽀給対象となる障害者の方1⼈当たり⽉13万円
  • 作業設備の場合は、⽀給対象となる障害者の方1⼈当たり⽉5万円
  • 短時間労働者(重度⾝体障害者、重度知的障害者または精神障害者を除く)の場合の限度額は1⼈当たり上記の半額となる
  • 支給期間は3年間となる

障害者雇用の助成金制度を利用する流れ

障害者雇用助成金の利用の流れは以下の通りです。

  1. 計画の作成
  2. 書類の提出
  3. 審査
  4. 支給決定

障害者雇用助成金を利用するためには、障害者雇用の計画を作成し、それぞれの申請先に提出します。

その後、支給要件を満たしているかどうか審査され、支給が決定すると支給通知書が送付されます。支給決定後、指定した口座に助成金が振り込まれるという流れが一般的です。

「特定求職者雇用開発助成金」は計画の作成が必要ないなど、助成金によっては流れが一部異なる場合もあります。

障害者雇用の助成金制度を利用する上でのポイント

障害者雇用ではさまざまな助成金を利用できますが、実際に障害者を雇用する上では、いくつかのポイントがあります。ここからは、障害者雇用の助成金制度を利用する上でのポイントを紹介します。

障害のある方もはたらきやすい環境を整える

雇用した障害者の方が長くはたらけるように、職場環境を整えることが重要です。

助成金を利用し雇用するだけでなく、雇用した障害者の方が長くはたらけるように、職場環境を整えることが重要です。障害者の方にとってはたらきづらい環境であれば、採用してもすぐに離職してしまいます。

必要な環境や配慮は障害の種類や個人の特性によって異なります。一人ひとりの特性にあわせた合理的な配慮を行う事が重要です。職場のバリアフリーなどの物理的な環境整備だけでなく、会社全体での障害者雇用に関する理解を深めるなど、心理的な整備も障害者雇用を成功させるためには欠かせません。

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雇用率の計算方法を正しく理解する

障害者雇用促進法では、法定雇用率の達成を求めており、達成しているかどうか確認する際に実雇用率を計算します。正確な数値を算出するためには、雇用率の計算方法について正しく理解することが重要です。

ここからは、実雇用率を計算する上でのポイントについて解説します。

週30時間以上の場合は「1人」のカウントが基本

基本的に、週30時間以上での雇用の場合に1人とカウントします。20時間以上30時間未満の場合は、基本的に0.5とカウントしますが、精神障害者に関しては、当分の間0.5ではなく、1とカウントとする特例措置の延長が決定されています。

例外のある算定方法に注意

重度身体障害者・重度知的障害者の場合は、算定特例があります。週30時間以上での雇用の場合、重度の身体障害者と知的障害者は1人ではなく、2人とカウントされます。

さらに、10 時間以上 20 時間未満の場合、重度でない身体障害者と知的障害者はカウントされませんが、重度である場合0.5とカウントされます。また、精神障害者についても10 時間以上 20 時間未満の場合は0.5とカウントされます。

以上の内容を表でまとめると以下のようになります。

30時間以上 20時間以上30時間未満 10時間以上20時間未満
身体障害者 1 0.5 -
知的障害者 1 0.5 -
精神障害者 1 1 0.5
身体障害者(重度) 2 1 0.5
知的障害者(重度) 2 1 0.5

障害者雇用の助成金制度を利用する上でのよくある質問

ここからは、障害者雇用の助成金制度を利用する上でのよくある質問について紹介します。

自治体で提供している助成金はある?

これまで国が行っている助成金を紹介してきましたが、自治体で提供している助成金もあります。例えば、東京都では「東京都障害者安定雇用奨励金」や「東京都中小企業障害者雇用スタート支援奨励金」があります。

「東京都障害者安定雇用奨励金」は、障害者等を正規雇用や無期雇用で採用した場合や障害者等を有期雇用から正規雇用や無期雇用に転換した場合が対象となり、「一週間の所定労働時間が20時間以上の無期雇用労働者として雇入れていること」などいくつかの条件があります。

対象となる労働者を採用・転換した日より6ヶ月経過した日から2ヶ月以内に東京都へ申請することで、最大180万円が支給されます。

また、「東京都中小企業障害者雇用スタート支援奨励金」は、中小事業主であり、これまでに障害者の雇用実績がない企業を対象とした助成金です。

「雇入れた障害者の週所定労働時間が20時間以上(重度障害者である場合は、週所定労働時間が10時間以上)」「障害者、重度障害者(※)を6ヶ月間継続して雇用し6ヶ月分以上の賃金を支給している」などが支給要件となります。

対象となる労働者を採用した日より6ヶ月経過した日の翌日から2ヶ月以内に東京都へ申請することで、最大120万円支給されます。タイミングによって要件や内容が変わる可能性があるため、詳細につきましては公式の情報をご確認下さい。

助成金と補助金の違いとは?障害者雇用で利用できる補助金はある?

助成金と補助金にはいくつかの違いがあります。例えば、支給の条件では助成金は基本的に要件を満たせば支給されますが、補助金は公募制で審査を通過した企業のみ受給できます。

また、補助金は自治体や経産省が管轄することが多く、特定の政策や事業の推進を目的としています。一方、助成金は厚生労働省が管轄し、雇用促進等の目的としたものが多い傾向にあります。

障害者雇用で利用できる補助金の例としては、神奈川県の「精神障害者職場指導員設置補助金」や四日市市の「障害者雇用職場定着支援補助金」が挙げられます。

助成金の申請窓口はどこ?

「トライアル雇用助成金」や「特定求職者雇用開発助成金」などハローワークが窓口になることが多いですが、助成金の種類によっては「独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構」が提出先となる場合もあります。また、自治体が独自で行っている助成金の場合は、自治体が窓口になっているケースが一般的です。
助成金ごとに窓口が異なるため、申請する前に確認しておきましょう。

アルバイトも助成金制度の対象になる?

「障害者トライアル雇用助成金」など正社員・正職員だけでなく、アルバイトやパートの方も対象になる助成金も設けられています。ただし、助成金によって条件が異なるため、制度ごとに条件の確認が必要です。

申請できるのは企業だけ?個人事業主でも助成金を申請できる?

企業以外にも、常用労働者を雇用している個人事業主も助成金を申請できる場合があります。例えば、「トライアル雇用助成金」や「キャリアアップ助成金」は雇用保険の適用事業主であれば利用できる助成金の1つです。助成金ごとに条件があるため、不安な場合はハローワークに相談してみると良いでしょう。

まとめ:障害者雇用の助成金制度の対象や条件を確認し申請・問い合わせを

今回は、障害者雇用に関する助成金の種類やそれぞれの特徴についてご紹介しました。受給条件はそれぞれありますが、ここで紹介したもの以外にも「労働保険料を滞納している事業主」や「暴力団関係の事業主」は、助成金の受給はできないなど、障害を持つ方の雇用に関する助成金には共通のルールもあります。
また、助成金の受付窓口は、ハローワークの助成金事務センターなどが多くなっています。助成の対象や申請に必要な書類、提出期限もそれぞれ異なりますので、該当しそうな助成金がありましたら、一度、受付窓口に問い合わせしてみることをおすすめします。

監修者 安原 徹 パーソルダイバース株式会社 法人マーケティンググループマネジャー

◆監修者 安原 徹
パーソルダイバース株式会社
法人マーケティンググループマネジャー

◆経歴

新卒でベンチャー系コールセンター会社に入社し、営業およびスーパーバイザー業務に従事。その後、株式会社エス・エム・エスにて看護師の人材紹介業務および医療・社会福祉法人の営業を担当。2016年にパーソルダイバース株式会社に入社し、キャリアアドバイザーおよびリクルーティングアドバイザー(RA)として勤務。関西エリアにおける精神障害のある方のご支援先の開拓に注力。2021年に関西RAマネジャーに着任。2023年より中部・西日本RAマネジャーを経て、現在は法人マーケティンググループのマネジャーとして勤務。