雇用した障害者の職場適応と定着を図るためには、障害特性や必要な配慮を十分に把握し、就業への不安や問題が起きた際はすぐに、配属現場や支援機関と連携しながら対応します。特に採用・部署配属されて間もない時期は、これらの対応を徹底することが大切です。今回は、雇用側として企業が行うべきポイントを、当社がご支援した事例を交えて詳しく紹介します。
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障害者雇用の離職・定着に関する現状
障害者雇用を促進し、円滑な管理を行うためには、採用した後の離職防止と職場定着を考えることが重要です。入社後の対応や管理が不足していたために、採用した障害者が入社後すぐに辞めてしまったり、トラブルになり離職に至ってしまうケースも少なくないためです。
ここではまず、障害者雇用の離職率の現状について全体と求人種類別、障害別にみていきましょう。離職率の現状や離職理由を知ることで、トラブルや離職への対策を講じやすくなります。
障害者の雇用後の離職率
障害者の離職率については、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機 障害者職業総合センターが2017年に実施した「障害者の就業状況等に関わる調査」から知ることができます。就職後3カ月時点と1年時点での定着率について、全体と障害別それぞれの結果をご紹介します。
全体の定着率
一般企業と就労継続支援A型事業所へ就職した障害者の定着率は、就職後3カ月時点では 80.5%、就職後1年時点では 61.5%となっています。つまり、就職から3カ月の間に約2割もの障害者が離職し、就職から1年後にはその倍近い約4割もの障害者が離職しているということになります。
また、求人種類別でも差がみられ、就職後3カ月時点の定着率はA型が88.0%、障害者求人が86.9%、一般求人での障害開示が69.3%、一般求人で障害非開示の場合は52.2%という結果になっています。さらに就職後1年時点の定着率は、A型67.2%、障害者求人70.4%、一般求人障害開示49.9%、一般求人障害非開示30.8%と、やはり支援や開示の程度が低いと定着率が低くなる傾向が伺えます。
障害別の定着率
障害別でも定着率に差が見られます。就職後3カ月時点の定着率は、身体障害 77.8%、知的障害 85.3%、精神障害 69.9%、発達障害 84.7%です。また、就職後1年時点の定着率は、身体障害 60.8%、知的障害 68.0%、精神障害 49.3%、発達障害 71.5%となっています。
特に精神障害は1年後の定着率が50%を切っており、離職率が高い傾向にあることが調査結果からも読み取ることできます。さらに身体障害も1年後の定着率は約60%と、比較的離職率が高いことが分かります。
これらの理由として考えられるのは、精神障害や身体障害は障害者雇用枠ではなく、一般求人でかつ障害非開示で就労する人の割合が他の障害に比べて高いということです。
障害者雇用枠での採用では、本人が障害を開示していることがほとんどのため、障害の特性に応じた環境の提供や配慮により、業務などのミスマッチを防ぐことができます。しかし、情報非開示で就労した方に対しては、このような配慮を行うことが難しいため、定着率が低くなっていると見られます。
障害者の主な離職原因
ここでは、厚生労働省が実施した「平成25年度(2013年度)障害者雇用実態調査結果」をもとに、障害者の主な離職原因について見ていきましょう。なお、知的障害者については本調査の対象外となっています。
調査結果による、身体・精神障害者の前職における離職理由については以下のとおりです。
- 職場の雰囲気人間関係
- 労働条件への不満
- 業務遂行上の課題(仕事内容が合わない、作業能率面で適応できなかった)
- 障害、病気の症状が悪化
- 疲れやすく、体力意欲が続かない など
これらの離職率や離職原因から読み取ることできるのは、障害の開示に伴う企業側の障害理解の促進と、合理的配慮の提供が、早期離職を防ぐポイントだということです。障害特性を理解し、必要な職場環境や雇用管理を整備することは、障害者雇用後のトラブルを未然に防ぐことにも繋がります。
雇用する障害者とのコミュニケーションから適切な合理的配慮を提供していくことが、離職防止と職場定着のポイントであると言えるでしょう。
障害者雇用でトラブルが起きる要因
はたらく上での不安は、障害の有無に関わらず誰もが抱えるものです。障害者はそれに加え、はたらく上での制約があるため、障害のない社員に比べ不安を抱えやすいと言えるでしょう。障害の種類や特性によって違いはありますが、職場で障害者が抱える“不安の種”としては次のようなものがあります。
障害のある従業員が職場で抱える不安の種の例
<業務>
- 指示の理解が追い付かない…
- 自己判断が多く負担に感じる…
- ミスが改善できない…
<コミュニケーション>
- 相談相手は誰か…
- 質問が多いと思われているかも…
- 同僚の言動が気になる…
<就業環境>
- 指通勤時の混雑が恐怖…
- 席の位置が落ち着かない…
- 休憩の過ごし方が分からない…
障害のある従業員の不安が解消されない状態が続くと
このような不安が解消されないままでいると、障害のある従業員の不安は大きくなり、食欲不振や睡眠障害、業務ミス、パニック、勤怠の不安定など、心身の様々な不調につながりやすくなります。
担当者がその不安に気づき、いち早く原因に気づくことができれば良いのですが、なかなか難しいのが現状です。不安から起こる不調が大きくなった結果、職場内の人間関係におけるトラブルや業務の大きなミスにつながり、本人が離職に至ってしまうケースが少なくありません。また、最悪の場合は労働問題へと発展することも考えられます。
トラブルに至る前に“不安の種“にいち早く気づくことが、職場定着には欠かせない視点と言えるでしょう。
障害者雇用において雇用管理で行うべき配慮
障害者が職場に適応し、定着している状態とは「障害者本人が仕事に対するやりがいを感じ、活躍しているという感触」と「企業が、障害者に対して期待しているはたらき方や成果、それに対する評価」が釣り合っている状態です。
そのために、雇用管理面で行うべき配慮としては以下のようなものがあります。
■配属先での人間関係
- 障害特性や必要な配慮などの把握・理解
- チーム内のメンバーや上長との話し合いや、業務を通じたコミュニケーション
■職場環境
- 障害特性や配慮に沿った座席の配置や設備の設置
■健康管理
- 通院や服薬、休憩や休暇、出勤時間や早退などの配慮
■評価、処遇
- 人事制度に基づき、職務や目標設定、それに対する評価や処遇
■教育・訓練
- 人材育成の視点から、教育や研修機会の提供
障害者雇用のトラブル防止のために押さえておきたい3つのポイント
- 日々の状態、調子の変化を観察する
- 面談で状態を把握する
- 不安に対処する
日々の状態、調子の変化を観察する
障害者が安定してはたらけるよう、雇用管理者や担当者は就業状況をよく見て、コミュニケーションを積極的に取るよう心がけましょう。下記のような点を意識しながら日々のコミュニケーションをとるようにします。
■主な観察項目
<健康面・体調面>
- 睡眠、体力
日々の睡眠時間を確保できているか、よく眠れているか、疲れが溜まっていないか? - 勤怠、生活リズム
欠勤・遅刻・早退が続いていないか? - 通院、服薬状況
利用の医療機関や通院頻度に変更はないか、薬の副作用による影響はないか?
健康面・体調面の確認は、継続的な勤務の基本となる項目です。定期的に確認をすることで、変化にも気づきやすくなります。
<仕事面での確認>
- 仕事への意欲
入社後からモチベーションが急激に下がるなどの変化はないか? - 仕事に対する能動性、主体性
自ら動き、不明点は質問できているか? - 作業判断力、スピード
与えた業務を目標や期限内にこなせているか? - 作業正確性、ミスの頻度
明らかにミスが多い場合、与えた業務に対して本人の特性とのミスマッチはないか?
仕事面での確認は、本人の特性と業務内容がマッチしているかどうかを見極める機会になります。面談だけでなく業務中の様子や成果についても確認すると良いでしょう。
<ヒューマンスキル、対人面での確認>
- 素直さ、正直さ
指示や指導を素直に実行しているか? - 向上意欲
自分なりの目標はあるか? - 他者への貢献意欲
周囲と協力できているか? - 挨拶、返事、報告・連絡・相談の有無や頻度
挨拶や返事、報連相が適切な場面でできているか?
ヒューマンスキル、対人面での確認は、特に離職につながりやすい職場の人間関係についてトラブルを未然に防ぐことにつながります。また、見通しを確認することで本人のモチベーションの維持や向上につなげることも期待できるでしょう。
面談で状態を把握する
障害者の中には、自ら相談を申し出ることや、不安に感じていることを言葉にして伝えることが苦手な人もいます。障害のある社員の状態や必要な配慮を確認し、対策を行うために、雇用雇用管理者による定期的な面談が必要です。面談は主に次の2種類があります。
定期面談 |
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必要に応じた面談 |
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面談の場では、先に上げた主な留意点、本人に業務状況や就業環境、体調についてヒアリングし、不安に感じていることを確認し、対処をしましょう。仕事上の指導や改善案を提示する場合には「定期面談」が、障害者本人から面談の申し出があった場合には「必要に応じた面談」が適しています。
面談で聞くべきこと、確認ポイントとは?
面談で聞くべきことや確認のポイントは、日々の状態や様子のほか、本人に変化や課題がみられた場合の状況や認識のすり合わせ、今後の目標設定などが挙げられます。
質問や伝える項目の具体例は次のとおりです。
- 体調は安定しているか
- 行っている作業に対して不安はないか
- 担当者からみた本人のできていること、改善したほうが良いことは何か(理由も伝えること)
- 現在実施している配慮で不足を感じていないか
- 短期的な目標、長期的な目標はあるか など
特に本人の課題や改善点を伝える際には、安易に他の従業員と比べないことが大切です。あわせてできていることを伝える際にも、比較ではなく本人の強みに着目して具体的に伝えると良いでしょう。
また、面談時に合理的配慮についての要望があった際には、企業としてできる支援や配慮を説明し、必要であれば関係機関との連携も図り対応を確認しましょう。
面談で気をつけるポイントとして、「障害者が答えやすい質問になっているかどうか」があります。「最近どうですか?」などのオープンクエスチョンを用いず、聞きたい内容を具体的に質問するようにしましょう。
(※オープンクエスチョンとは、「はい」「いいえ」などで答えるのではなく、回答者が自由に考えて答える質問のことを言います。)
面談では選択肢を制限し、シンプルに答えられる質問を意識すると良いでしょう。
また、「面談で本当のことを話すと辞めさせられるのではないか」と心配し、状況把握する上で大切な情報を話してくれない場合もあります。なぜこのようなことを聞くのか、理由をしっかりと伝え、決して不利な状況にはならないということを理解してもらう必要があります。
話を聞く時はできるだけ笑顔で、相手の話を否定せず耳を傾けることが大切です。前回の面談からどう変化しているか、経過を観察することも忘れずに行いましょう。
障害のある従業員の不安に対処する
障害者が抱いている不安を対処する際には、まず「原因を特定する」必要があります。障害者の訴えや現状だけでなく、背景や真の原因を客観的に考えてみます。その上で、必要な配慮は提供されているか、体調や障害特性上、配慮すべき内容を見直す必要はないか、メンバーとのコミュニケーションや人間関係に問題はないか、業務の難易度は適正か、などを見ていきます。
一つのポイントとしては、原因が「就業面」に起因する問題なのか、それ以外の「プライベートや家庭」「個人的な悩み」「健康・医療」に起因する問題なのかを、切り分けて考えることが重要です。「プライベートや家庭」「個人的な悩み」「健康・医療」に関する問題は、企業が踏み込んで対処することが難しい場合が多いため、第三者の支援機関と連携して対処します。
※支援機関との連携については以下の記事を参照してください。
障害のある従業員が雇用管理のトラブルで早期離職した事例
雇用管理が十分でなく、必要な配慮や対策が取れておらず、せっかく採用し配属されても離職に至ってしまうことがあります。ここでは当社のキャリアアドバイザーが、これまでご支援した中で、ご入社されたものの離職に至ってしまった事例をいくつか紹介します。
事例1. 現場との乖離で「据え置き」状態に
下肢機能障害がある30代の男性は、前職でのシステム開発の経験を活かそうと、大手IT系企業の開発職に応募しました。前職とは開発分野や環境が少し異なることに不安を感じてはいましたが、面接時に「わからないことはメンバーや上長が教えますので、未経験でも大丈夫です」との返答があったことで、入社を決めました。
ところが、入社して配属された後は、自分の席は与えられたものの担当する業務の説明や作業の具体的な指示がなかったため、業務の発生経路や職務面の相談先も全く分からず、困惑したそうです。教育・研修制度にも応募しましたが「今は人がいっぱいなので、空きが出るまで待っていてください」と断られ、その後連絡もありませんでした。社内で相談できる先もなく、当社のキャリアアドバイザーに相談をいただきました。
相談を受け、当社から企業側へ「周囲とコミュニケーションをとりながら進めたい、業務指示や相談できる方を決めてほしい」という要望を伝えましたが、企業側からの返答は「配属先はコミュニケーションが苦手な人は多いけれど、あまり気にしないでください」というものでした。状況は改善されず、やがて体調面に不調をきたしてしまいます。
企業側からの配慮として「フォローができるよう、雇用管理者の隣に席替えをする」と提案頂きましたが、雇用管理者が在席していることがほとんど無かったため、フォローを受ける機会はありませんでした。
結果として、入社半年で離職することとなりました。
【解説】
このケースは、障害のある社員を雇用したものの、面接をした人事部と現場配属先の連携不足が原因で離職に至ってしまったと言えるでしょう。障害のある社員を採用する際には、人事担当者と配属先の現場担当者との間で、障害特性や必要な配慮、業務指示や管理、何かあった際の相談体制などのすり合わせを十分に行い、採用後も障害のある社員の就業状況や体調の把握を適切に行うための体制をつくることが重要です。
事例2. 必要な配慮がなくなり、改善できず離職へ
聴覚障害のある男性は、採用面接時、音による指示が受けられないため、「会議や指示を文字ベースで行ってほしい」といった旨を伝えました。企業側からは「障害には十分に配慮します」との返答もあり、入社を決めました。
入社当初は行われていた会議時のノートテイクや議事録の共有も、時が進むにつれてだんだんとなくなり、口頭のみで会議が進んでしまう状況に変化していったようです。会議内容の共有がないため、「今、会議がどうなっているのか」や、決議内容のキャッチアップが追いつかず、疎外感を抱くようになりました。業務においても認識の齟齬が生まれるようになり、結果として退職されることになりました。
【解説】
このケースは、入社当初は障害特性への理解や必要な配慮はあったものの、日数が経つにつれて配慮が継続されなくなったこと、その後の問題の把握や改善策が取られなかったことが原因と考えられます。聴覚障害は耳から情報が入ってこない分、微妙なニュアンスがわかりづらいことがあります。また、聴覚障害のある方の中には、何度も質問して相手から嫌がられた経験から、「分かったふり」をしてしまう方もいらっしゃいます。そのような特性や事情を理解し、配慮が適切に行われているか、業務上不安なことや問題がないかを、面談等を通じて確認し、適宜対応しましょう。
事例3. 雇用実績はあっても、新たな配属先で受け入れる際は要注意
精神障害(うつ病)のある30代前半の女性は、食品卸の受注業務を行う部署に配属されました。配属先に対しては自分の障害を開示し、責任感が強く「自分ゴト化」しすぎてしまうこと、パニック発作が起こること、動悸が激しくなることといった特性があることを伝えました。
主な担当業務は、各店舗から商品の発注を受け、在庫がある工場に数量や納期を伝えるというものでした。特性上、仕事面で質問や相談があっても「聞くと迷惑になるのでは?」との思いから、周囲に声をかけたり相談したりできず、わからないことがありながら仕事を続けることで、不安は大きくなっていきました。
そのような中、仕事でのミスに対し、店舗の担当者からきつく指摘されることがありました。「なんで簡単な作業でミスするのかわからない」「真面目に仕事しているのか」と責められたこともあるようです。現在も就業は続いていますが、今後の不安が大きく、このまま就業を続けるべきか悩んでいる様子でした。
【解説】
この会社では、これまでも障害者の雇用・定着実績は高いものの、今回配属された部署ではこれまで障害者を受け入れた経験がありませんでした。また、部署内のメンバーは障害特性を理解していたものの、業務で関係する他部署には障害特性についての情報を開示しておらず障害への理解がなかったことも、今回の原因と考えられます。会社として雇用実績がある場合でも、はじめて受け入れる部署への配属の際は、不安の把握や報告・連絡の徹底、上長・相談者のフォローといった取り組みや体制を徹底することが重要です。また課題が見られた場合は、いち早く対処するようにしましょう。
事例4. 繊細さや”べき思考”…障害特性への理解が十分でなかった例
ある小売業に就職した精神障害(うつ病)のある40代後半の男性は、前職で店長として接客を行ってきた経歴もあり、店舗に配属され、在庫管理などのバックルーム業務に従事することとなりました。その企業は、精神障害者の受入れ経験が豊富で、障害のある社員10名以上がはたらいていました。
配属された店舗のバックルームが非常に狭く圧迫感が気になったことと、障害を開示していたにも関わらず、指導員となる社員の指導の仕方や言い方など、コミュニケーション上の配慮が十分でなかったことに不安を感じ、当社キャリアアドバイザーに相談がありました。当事者と相談の上、心を落ち着かせられるよう、離職ではなくいったん休職して様子を見ることとなりました。
その後体調が安定してきたため復職することになったのですが、社内メールで自身を悪く言っていると疑ってしまうメッセージを発見してしまったのです。また、別のスタッフから、この指導員が自分に対して良くない印象を持っている噂を耳にしたこともあり、指導員やスタッフから疎まれているのではないかと感じ、退職を決意されました。
【解説】
このケースの原因としては、会社としての障害者雇用の方針や障害者雇用に取り組む温度感、配属となる方の障害特性や必要な配慮について、配属現場に浸透されていなかった事が第一に考えられます。さらに今回配属された店舗では、精神障害者の受け入れ実績はありませんでした。
また、うつ病のある方には、言葉遣いのわずかな変化でも気にしてしまう繊細な方が多くいらっしゃいます。物事のあり方や進め方に対し、責任感の強さから「こうあるべき」という“べき思考”が強い方が多いのも特徴です。受け入れる企業や現場は、そうした精神障害の特性があることを理解し、事前に情報共有しておくことを意識していただければ、休職や早期離職を防ぐことにつながるかもしれません。
ご参考:障害の情報をどこまで共有すべきか?
雇用した障害者の障害特性や必要な配慮に関して、配属部署へ共有する際に、どこまでの情報を開示・共有すべきか、チームメンバーにどのように理解をしてもらうべきか、判断が難しいという質問をいただくことがあります。
必要なことは、業務を遂行する上で支障となることは何か、と、そのための配慮の仕方を共有することです。業務に支障のないことは、必ずしも共有する必要はありません。配慮がないと業務を進める上で支障が出る可能性があることを周知した上で、配慮の具体的な内容を、雇用管理者からメンバーに説明しましょう。
開示・共有する際は、事前に障害者本人と相談し、開示の希望や承諾を得た上で進めます。障害名は個人情報となるため、本人が自ら開示する場合を除き、本人の承諾なく第三者から開示することはできませんので注意してください。
まとめ:細やかな雇用管理で障害者雇用のトラブルを防ぎ、職場定着を実現
障害者の雇用管理、特に入社・配属されて間もない期間は、障害のある社員が抱える“不安の種”をしっかりと把握し、すぐに対処することが大切です。障害特性への理解や必要な配慮がなされているか、業務量や業務進捗は適切か、体調変動のサインが出ていないか、不安を感じているかどうか、何に対して不安なのかを適宜、確認・把握し、素早く対処しましょう。
不安や相談事が発生した際に、相談できる担当者や窓口を複数用意しておくことも大切です。配属先ではメンバーや上長を相談先として決めておく。配属先以外に、人事部や、外部の支援機関にも相談できる体制を整えておきましょう。
早期退職を防ぎ、その後の職場適応と定着を長期的に実現するために、自社での取り組みを改めて考えてみてはいかがでしょうか。
パーソルダイバースでは、障害のある方を採用した後の定着や活躍に課題を抱える雇用管理者さま向けに、「定着・活躍支援」を実施しています。障害のある社員への関わりにお悩みの方や、ノウハウが不足していると感じる方の課題解決をサポートいたします。