作成日:2026年6月4日

障害者雇用を進めたいと考えながらも、「何から着手すればよいかわからない」「職場として適切に受け入れられるのか不安」「採用後に定着するイメージが持てない」と感じる企業は少なくありません。特に、障害者雇用の経験が浅い企業にとっては、社内体制づくりや人材とのマッチングに課題を感じやすいものです。
こうした企業を支援するため、厚生労働省は「障害者雇用相談援助事業」を創設しました。本事業では、障害者雇用が未実施または法定雇用率が未達成の企業を対象に、雇用の検討段階から採用、職場定着までを見据えた専門的な相談支援を、企業の費用負担なく提供しています。
本記事では、障害者雇用相談援助事業の制度内容や支援の特徴、活用することで得られる効果について、障害者雇用に初めて取り組む企業にも分かりやすく解説します。

目次

障害者雇用相談援助事業の概要と対象企業

事業の概要について

障害者雇用相談援助事業は、厚生労働省が創設した企業向け支援制度「障害者雇用相談援助事業」に基づき、企業が費用負担なく障害者雇用に取り組めるよう支援する公的施策です。障害者雇用が未実施の企業や、法定雇用率が未達成または未達成見込みの企業を対象に、雇用の検討段階から採用、定着までを一体的に支援します。具体的には、経営層・現場向けの理解促進研修、業務の切り出しや整理、採用方針の検討、職場環境の整備、入社後の定着支援等を行い、企業が継続的かつ安定的に障害者雇用を進められる体制構築を目的としています。
実際の伴走支援は、都道府県労働局長の認定を受けた事業者が実施します。認定事業者は、障害者雇用に関する実績や専門人材の配置、法定雇用率の達成に加え、適正な運用体制や個人情報管理体制など、一定の基準を満たした事業者です。

対象となる企業は

対象となる企業は、障害者雇用にこれから取り組もうとしている、または取り組みを進める必要がある企業です。具体的には、これまで一人も障害者を雇用したことがない企業や、障害者法定雇用率(2026年7月以降2.7%)が未達成、もしくは未達成となる見込みの企業が主な対象とされています。これらの企業が、無理なく障害者雇用を進められるよう、雇用の検討段階から採用、職場定着までを見据えた支援が行われます。

設立された背景は

厚生労働省によれば、民間企業における障害者雇用者数および実雇用率は継続的に増加している一方で、雇用の定着状況や就業の質に関しては依然として課題があると指摘されています。特に、障害者雇用の経験やノウハウが十分でない企業では、障害特性に配慮した業務設計や職場環境の整備、合理的配慮の提供、採用後の適切な雇用管理(配置・評価・教育・定着支援など人事的対応全般)が難しく、結果として早期離職や雇用の不安定化につながる事例が見受けられます。

また、法定雇用率の段階的な引上げにより、障害者を一人も雇用していない、あるいは法定雇用率が未達成の事業者に対しては、従来以上に実効性のある支援を行う必要性が高まっていました。

労働政策審議会(厚生労働省の諮問機関で、雇用や労働条件に関する政策を審議・提言する組織)等においても、単に雇用数を確保するだけでなく、障害のある方がその能力を十分に発揮し、安定してはたらき続けることができる環境整備、すなわち雇用の質の向上が重要であるとの認識が示されてきました。

こうした背景を踏まえ、都道府県労働局による雇用指導と連動し、雇入れの検討段階から継続までの一連の雇用管理について専門的な相談援助を行う仕組みとして、「障害者雇用相談援助事業」が創設されました。
本事業は、企業が計画的かつ安定的に取り組めるよう支援し、障害者雇用の質的向上と雇用の安定を図ることを目的としています。企業側の実務的対応例としては、業務の切り分けによる職務設計、始業時刻の柔軟化や段階的な業務習得を支えるオンボーディング、定期面談による早期支援体制の整備などがあり、これらは継続的な雇用管理の中で効果を発揮します。

法定雇用率制度については、以下の記事もご参照ください。

具体的にはどのような支援が受けられるのか

障害者雇用相談援助事業は、企業が抱える課題の段階に応じて、さまざまな支援を行う制度です。支援事例を見ると、特に多い相談内容は、大きく次の3つのパターンに整理できます。
ここから、企業が実際に受けられる支援内容を具体的に解説します。

経営理解を深める支援― 障害者雇用の「必要性」から整理したい

障害者雇用に取り組む必要性を人事は考えているものの、経営層の理解が十分に得られず、社内で話が進まないという企業は少なくありません。
人事担当者が課題意識を持っていても、「なぜ今、障害者雇用に取り組む必要があるのか」「経営にどのような影響があるのか」「雇用することのメリットは」といった点が共有されていない場合、具体的な行動に移すことは難しくなります。
このようなケースでは、障害者雇用相談援助事業を通じて、経営陣向けの説明や研修を実施します。
法定雇用率制度の背景や、雇用指導の考え方、企業に求められる対応などを整理しながら、障害者雇用を「人事課題」ではなく「経営課題」として捉え直すことを目的とします。
支援を通じて、経営層が制度の背景や必要性を理解することで、会社としての方針が明確になり、障害者雇用を進めるための共通認識が形成されます。
その結果、場当たり的な対応ではなく、中長期的な視点で雇用を検討できる状態へと進んでいきます。

業務設計を整える支援― 「任せる仕事が分からない」状態から抜け出す

障害者雇用への取り組み意識はあるものの、「どのような業務を任せればよいのか分からない」といった理由から、採用に踏み出せない企業も多く見受けられます。
特に現場では、「業務を切り出せない」「負担が増えるのではないか」といった不安の声が上がりやすく、総務・人事などの障害者雇用推進担当が取り組みを前進させられないケースも少なくありません。
このような場合、相談援助事業では、社内業務の洗い出し・整理から支援を行います。既存業務を細かく見直し、業務の切り分けや再設計を行うことで、障害のある社員に任せられる業務を具体化していきます。
業務内容が言語化されることで、「特別な仕事を用意しなければならない」という思い込みが解消され、現場の理解も進みやすくなります。結果として、障害者雇用を現実的に検討できる状態となり、次の採用準備段階へ進むことが可能になります。

採用準備を進める支援― 採用に向けた具体的な進め方を整理

業務内容は一定程度整理されており、障害者雇用に取り組む意向もあるものの、採用活動の進め方が分からず、検討が停滞している企業も見受けられます。
「どのような条件で募集すべきか」「どのような採用ルートが適切か」「面接でどのように見極めるべきか」「実習の実施は必要か」「採用後の受け入れ体制をどのように整備すべきか」といった不安が背景にあります。
障害者雇用相談援助事業では、こうした企業に対して採用・雇用方針の整理や、募集・採用活動の進め方について助言を行います。また、採用後を見据えた支援体制や社内での受け入れ環境についても整理を進めます。 支援を通じて採用に関する流れが明確になることで、企業は安心して募集・採用に踏み出すことができます。単に「採用すること」を目的とするのではなく、「継続してはたらいてもらう」ことを前提とした準備が整う点が、この段階の大きな特徴です。

定着支援について― 活躍のための環境整備

採用まで順調に進んだとしても、入社後にはたらき続けられる環境が整っていなければ定着にはつながりません。実際、企業からは「採用後に早期離職してしまった」「現場との関わり方が難しい」といった声が一定数、障害者雇用の課題として聞かれます。 定着が難しくなる背景には、業務内容や役割があいまいなままスタートしていることや、指示・コミュニケーションのすれ違い、困りごとを相談しにくい職場環境などが挙げられます。こうした課題は本人の問題ではなく、環境や仕組みによる影響が大きいケースも少なくありません。
障害者雇用相談援助事業における定着支援では、まず業務内容や役割を整理し、「何を任されているのか」「困ったときは誰に相談するのか」を明確にすることを重視します。また、日常の関わり方や伝え方を見直し、無理のないコミュニケーションの形をアドバイスします。
定着支援は、職場全体の負担や不安にも目を向ける支援です。こうした調整を行うことで、本人が安心して力を発揮でき、職場も無理なく協力できる状態が生まれます。定着支援は、障害者雇用を一過性の対応ではなく、企業の取り組みとして根付かせていくための重要なプロセスです。

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障害者雇用相談援助事業の支援事例【企業別】

ここからは、実際に当社がご支援した障害者雇用相談援助事業の事例を紹介します。

【事例1】初めての障害者雇用の伴走支援

企業概要(業種/従業員数/エリア)

業種:運輸・物流業
従業員数:100名以下
本社:関西エリア

実施背景

同社では、これまで障害者雇用の実績がなく、今回が初めてとなる障害者採用に取り組むにあたり、「どのような業務を任せられるのか」「雇用条件や採用活動をどう設計すべきか」といった点に不安を抱えていました。
そこで、1人目の障害者採用を円滑に進めるための伴走支援と、採用準備、実際の受け入れ現場の理解促進を目的とした支援を実施しました。

実施内容

同社の初めての障害者採用に向け、業務検討から採用の具体化まで伴走支援を実施しました。無理なく担える業務の選定方針を整理し、雇用条件の検討や助言し、採用の進め方も共有しました。不安や疑問を一つひとつ解消しながら段階的に支援しました。事務所環境・通勤条件・日々のはたらき方を丁寧に把握し、求人票に正確に反映しました。仕事内容・就業条件・職場環境を具体化し、指揮命令系統や相談先など求職者が知りたい情報の過不足を確認しました。採用手法については、就労移行支援事業所との連携方針もアドバイスさせていただきました。

 これらの支援を通じて、業務内容や就業環境をていねいに整理・可視化することができ、初めての障害者採用においても、企業側・求職者側双方にとって誤解の少ない採用に向けた基盤づくりを行いました。

【事例2】「補助業務」からの脱却と、業務の切り出し

企業概要(業種/従業員数/エリア)

業種:人材派遣・人材紹介業
従業員数:101~300名以下
本社:首都圏エリア

実施背景

これまで同社では、過去に就業していた当事者社員の業務内容やメディア等の影響もあり、障害者雇用=軽作業や清掃業務が中心というイメージがありました。そのため、障害者社員に任せる業務についても補助的・限定的な業務を想定する傾向がありました。

実施内容

当社からの研修を通じて、実務を安定して担えるキャリアやスキルを有する人材が想定以上に多いことが分かり、障害者雇用の目的を「配慮前提の限定的雇用」ではなく「即戦力としての雇用」に定めたいという考えに変化が生じました。これにより、単に人数を確保するための採用ではなく、業務上「必ずいてほしいポジション」への配置を前提とした採用を目指す方向で社内の認識がそろっていきました。 採用に関しては「ひとありきではなく、職務ありき」という方針が明確になり、管理部門において知識や経験が求められるポジションでの採用を進めることが決定されました。 ハローワークで募集を行い応募状況を確認し、条件緩和や母集団形成方法の見直しを行うこと、また就労支援機関との連携を見据え想定業務をWBS形式( 業務やプロジェクトを細かく分解して整理する手法)で整理する必要性についても認識されました。

【事例3】コスト面を正しく認識し雇用方針を変更した事例

企業概要(業種/従業員数/エリア)

業種:食品製造業
従業員数:501~1000名以下
本社:首都圏エリア

実施背景

障害者雇用を進める中で、同社では法定雇用率への対応をどのように進めていくべきか検討を重ねてきました。短期間で雇用率の課題に対応できる手段として候補に上がったのが、障害者雇用サービス(農園)です。
実際に農園を訪問し、一定数の障害のある方が就労していることや支援体制が整っていること、必要なポイント数を確保できる見込みがあることを確認しました。経営層からは、「比較的短期間で雇用率の課題を解消できる点は魅力的」「社会貢献につながる取り組みとして社内外に説明しやすい」といった前向きな声も上がっていました。
一方で、人事担当者は現地を見学する中で、別の視点も得ることになりました。実際にはたらいている障害のある人の様子を見る中で、こうした取り組みを自社としてどのように位置づけるべきか、改めて考えるきっかけとなったといいます。あわせて、自社の中で多様な人材が自然に関わり合うインクルーシブな環境をどのように実現していくのかという観点から、障害者雇用の方向性を見直すようになりました。
このように、障害者雇用サービス(農園)を選択するかどうか以前に、「自社としてどのような障害者雇用を実現したいのか」を整理する必要性を感じたことが、今回の取り組みの出発点となりました。

実施内容

当社との対話では、あくまで自社に合った進め方を冷静に整理することを重視しました。コストの考え方や将来的な進め方も含めて比較・検討を行い、「仮に障害者雇用サービス(農園)を選択する場合でも、自社での障害者雇用を止めない」という方針を社内で共有することができました。
あわせて同社では、合同説明会への参加や支援機関との連携を継続し、自社ではたらくことを前提とした採用活動も着実に進めていく方針としました。就労移行支援事業所や支援学校との接点を持つことで、徐々に具体的な採用イメージも広がっていきました。
その結果、障害者雇用サービス(農園)にかかるコストと自社雇用におけるコストやメリットを慎重に比較検討し、最終的には自社雇用のみを進める判断に至りました。

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利用の流れと認定事業者の選び方

では実際にどのような利用の流れになるのか、どういった認定事業者への依頼ができるのか、ご紹介していきます。

障害者雇用相談援助事業の利用の流れ

障害者雇用相談援助事業は、労働局の認定を受けた事業者(認定事業者)が、企業(利用事業主)に対して障害者の雇入れや雇用管理に関する支援を行う制度です。企業が本事業を活用する際の流れは、以下のように整理できます。

1. 自社の状況整理 まず、事業の利用にあたっては自社の障害者雇用の現状や課題を整理します。厚生労働省の案内では「事前状況把握書」が用意されており、雇用状況や体制、課題を整理したうえで相談に進むことが想定されています。
2. 認定事業者への相談 整理した内容をもとに、障害者雇用相談援助事業の認定を受けた事業者へ相談を行います。本事業では、企業が直接支援を受けるのではなく、認定事業者を通じて支援が提供される仕組みとなっています。
3. 相談援助の実施 認定事業者は、企業の状況に応じて以下のような支援を実施します。

・障害者の雇入れに向けた準備支援
・雇用管理や定着に向けた体制整備の支援

これらは、障害者の雇入れおよび雇用の継続を図るための一連の支援として位置づけられています。
4. 雇用の実現と定着 最終的には、障害者の雇入れおよび雇用の継続(職場定着)の実現を目指します。本事業は単なる情報提供ではなく、実際の雇用と継続を目的とした伴走型の支援である点が特徴です。

申請に必要な書類

申請に必要な書類 本事業を利用する際の申請にあたっては、認定申請時と支給請求時でそれぞれ所定の書類提出が必要です。認定申請では受給資格認定申請書や支給要件確認申立書、事業計画書などを提出します。支給請求時には支給請求書に加え、相談援助事業の実施状況報告書等の提出が求められます。これらの書類は所定様式に基づき作成し、管轄支部へ提出する必要があります。

なお、パーソルダイバースの障害者雇用相談援助事業では、企業様のお手間をかけないよう各種手続きについてもフォローアップいたしますので、安心してご活用いただけます。

詳細については、依頼を検討している認定事業者にご確認ください。

認定事業者の選び方

障害者雇用相談援助事業は、労働局の認定を受けた事業者が企業の支援を行う仕組みですが、認定を受けているからといって、すべての支援内容や品質が同一とは限りません。自社に適した認定事業者を選ぶためには、いくつかの観点を押さえておくとよいでしょう。

まず、認定事業者には障害者の雇用管理に関する相談援助の実務経験が求められているため、実際の支援実績や、自社と近い業種・規模での取り組み経験があるかを確認するとよいでしょう。 また、制度上、一定の経験年数を有する責任者や実施担当者の配置が義務付けられているため、誰がどのような体制で支援を行うのかといった点も判断材料になります。
さらに、認定事業者は、障害者の雇入れに向けた準備から職場定着までの一連の支援を行うことが想定されているため、自社の課題に対してどの範囲まで対応できるのか、支援内容の具体性や実務への落とし込み力を確認することが大切です。 加えて、本事業は企業ごとの課題に応じた支援を前提としているため、画一的な提案ではなく、自社の状況に応じた実践的な支援プランを提示できるかどうかも重要な選定基準となります。これらの観点で比較検討することで、自社に適した認定事業者を見極めることが可能になります。

各労働局で、認定事業者を公表しているケースもあります。
以下は東京都内の一例となります。ご参照ください。

制度活用時に人事が押さえるべきポイント

障害者雇用相談援助事業を活用する際には、人事担当者がいくつかのポイントを押さえておく必要があります。

本制度の活用は、認定事業者による支援を通じて障害者の雇入れや雇用継続を実現することを目的としているため、単なる情報収集ではなく「実行」を前提に進めることが求められます。 
まず重要なのは、制度を活用する目的を明確にすることです。法定雇用率の達成だけを目的とするのではなく、どのような人材を受け入れ、どの業務で活躍してもらうのかといった具体的なイメージを持つことが、支援を有効に活用する上で不可欠です。また、制度では事前に自社の現状や課題を整理することが想定されているため、採用や定着に関する課題をある程度整理しておくことも重要です。
次に、認定事業者との役割分担を明確にすることもポイントです。本事業は伴走型の支援ではありますが、最終的に雇用を実施するのは企業側です。そのため、人事部門として社内調整や受け入れ体制の構築を主導する意識が求められます。
さらに、支援のゴールが「採用」ではなく「定着」である点にも留意が必要です。障害特性への理解や職場環境の整備、上司・現場部門との連携など、雇用後の運用まで見据えた体制づくりが重要となります。
このように、本制度は外部支援を活用しながらも、企業側の主体的な取り組みが成果に直結する仕組みとなっているため、人事などの障害者雇用推進担当が全体をリードする視点を持つことが成功の鍵となります。

よくある疑問と対応ポイント(Q&A)

ここからは、障害者雇用相談援助事業に関するよくある質問について紹介します。

どの企業でも利用できますか?

主に、障害者雇用に課題を抱えている企業や、法定雇用率が未達成の企業などが対象として想定されています。特に、初めて障害者雇用に取り組む企業や体制構築に課題がある企業に適した制度です。
企業規模(従業員数等)による利用制限はありません。

法定雇用率を達成していない企業には、ハローワークから雇入れ計画の作成命令などの対応が求められる場合がありますが、本事業を活用することで、改善に向けた計画的な取り組みを進めることができます。

どこまで支援してもらえますか?

本事業では、障害者雇用に関する一連のプロセスを包括的に支援することが想定されています。具体的には、採用に向けた業務の切り出しや職務設計、社内理解の醸成、受け入れ体制の構築といった準備段階から、求人内容の整理や採用活動に関する助言、採用後のフォローや職場定着に向けた支援まで幅広く対応します。
また、支援は単発のアドバイスにとどまらず、実際の雇用の実現を前提とした伴走型で行われる点が特徴です。企業ごとの課題や状況に応じて、具体的な打ち手を整理しながら進めるため、自社に合った形で段階的に取り組むことが可能です。結果として、採用だけでなく、その後の安定した就業や定着までを見据えた支援を受けることができます。

必ず採用しなければいけませんか?

本事業は、単なる情報収集や制度理解を目的としたものではなく、障害者の雇入れを前提とした実行支援として設計されています。そのため、利用にあたっては最終的に採用および雇用の実現を目指すことが前提となります。支援プロセスの中では、業務の切り出しや受け入れ体制の整備、採用方針の整理などを進めながら、実際の雇用につなげていく流れとなります。
また、本事業では、支援を受けた企業がハローワークへ求人の申込みを行うことが想定されている点にも留意が必要です。これは単に「検討」にとどめるのではなく、具体的な採用活動へ進むことを前提としているためです。したがって、制度の活用にあたっては、あらかじめ社内で採用の意思や方向性を一定程度固めておくことが重要です。
ただし、支援の過程では企業の状況や課題に応じて段階的に準備を進めることができるため、必ずしも短期間での採用が義務付けられるものではありません。認定事業者と連携しながら、自社に適した形で雇用を実現していくことが求められます。

他の障害者雇用支援サービスとの併用はできますか?また、有料サービスと無料の本事業との違いは何でしょうか。

障害者雇用相談援助事業は、他の障害者雇用支援サービスと併用して活用することが可能です。例えば、有料職業紹介事業、各種助成金、就労支援機関との連携など、複数の支援を組み合わせながら段階的に障害者雇用を進めることは一般的です。 一方、本事業自体は、ハローワークへの求人申し込みを前提とした支援であり、具体的に雇用支援として雇用を進める前提となっています。
一方で、有料支援サービスと本事業の違いとして大きいのは、支援の位置づけと目的です。本事業は、労働局の認定を受けた事業者が、障害者の雇入れ準備から雇用継続を目的として実施するものであり、原則として無料で利用できます。 また、助成金の仕組みにより、支援は“実際の採用・定着”につながることを前提に設計されています。
一方、有料の障害者雇用支援サービスは、企業その時々のニーズに応じてより柔軟な支援(コンサルティング、採用支援、定着支援の強化など)を提供する点が特徴です。本事業でカバーされる範囲を超えた支援や、企業独自の課題に対する深い関与を求める場合には、有料サービスを組み合わせて活用するケースもあります。
このように、本事業は「公的支援としての採用・定着を想定した伴走型支援」、有料サービスは「個別ニーズに応じた拡張支援」と位置づけると分かりやすく、自社の課題や推進状況に応じて使い分けることが重要です。

障害者雇用相談援助事業を活用して、障害者雇用を進めよう

障害者雇用に取り組む企業にとって、「何から始めればよいかわからない」「適切な業務設計ができない」「採用後の定着に不安がある」といった課題は少なくありません。障害者雇用相談援助事業は、こうした課題に対し、専門的な知見を持つ認定事業者が伴走しながら支援を行う制度であり、初めて取り組む企業でも実務レベルでの推進が可能となる点が特徴です。
本制度の重要なポイントは、単なる情報提供やアドバイスにとどまらず、実際の雇入れと雇用の継続を前提とした支援であることです。業務の切り出しや職務設計、社内体制の構築、採用活動の進め方、さらには定着に向けた運用まで、一連のプロセスを段階的に支援する仕組みが整っています。これにより、従来の「軽作業中心」「補助的業務」という固定観念にとらわれず、自社の事業に直結する業務での活躍を前提とした雇用へと転換することが可能になります。
また、支援は企業ごとの状況や課題に応じて柔軟に設計されるため、法定雇用率の達成だけでなく、中長期的な人材活用の観点から障害者雇用を捉えることができます。社内の理解促進や現場部門との連携も含めて取り組むことで、単なる制度対応ではなく、組織全体の生産性向上や多様性の推進にもつながります。
障害者雇用は「特別な取り組み」ではなく、企業にとっての新たな人材活用の選択肢です。本事業を活用することで、専門的な支援を受けながら自社に適した形で着実に推進することができ、結果として持続的な雇用の実現へとつなげることが期待されます。

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◆監修者
パーソルダイバース株式会社
法人マーケティンググループマネジャー
安原 徹

◆経歴

新卒でベンチャー系コールセンター会社に入社し、営業およびスーパーバイザー業務に従事。その後、株式会社エス・エム・エスにて看護師の人材紹介業務および医療・社会福祉法人の営業を担当。2016年にパーソルダイバース株式会社に入社し、キャリアアドバイザーおよびリクルーティングアドバイザー(RA)として勤務。関西エリアにおける精神障害のある方のご支援先の開拓に注力。2021年に関西RAマネジャーに着任。2023年より中部・西日本RAマネジャーを経て、現在は法人マーケティンググループのマネジャーとして勤務。